断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

救出

一昨日の晩、某所の展示ケースの湿度が80%を超えているとの知らせをうけた。しかも、1カ月前からそうだったようだ・・・。

そこで今日、レンタカーを借りて、急いで剥製の回収に出かけた。80%といえば水を浴びているも同然の最悪条件である。

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なんと今日の湿度は86%だった。

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昆虫のほうはアクリルで箱ごと密閉しているので、大丈夫そうだった。これは安心。

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ケースをあけて救出。カビが生えていたらどうしようかと戦々恐々としていたが、まだナフタレンが効いていたようで、その点は大丈夫だった。ただ、剥製が水を吸って、皮がフニャフニャのペコペコになっていた。あと少し遅かったら、形が崩れていただろう。本当に危なかった。

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それから大学の乾燥した部屋に配架。しっかりと乾かす必要がある。これだけの動物を集めるのにどれだけの人たちの協力があり、私自身、苦労があったか・・・。なにより、剥製を作ってくださった職人に申しわけがない。しばらく嫁には出さない。

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今日のななちゃん。狂ったように喜んでくれた。

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落ち着いた。

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責任・・・

チェンマイに着いて早々、「シリキット王妃植物園」の博物館の会議に参加した。外来アリのモニタリングに関する計画会議である。その日まで経緯がわからなかったのだが、どうやら私にも中心的な役割が与えられているらしい。

これまで、採集許可を取得し、採集し、標本を持ちだし、現地の研究者と共著で論文にするという正当な手順を経て調査を行ってきたが、それでは不十分だとは常々思っていた。やはり自然を守っている人たちのおかげで虫採りができるわけで、そういう人たちに対して、現地で体を使って貢献しなければならない。

アリ研究者でも、山根さんや橋本さんは昔から「責任」としてやっていることだし、当然といえば当然なのだが、とうとう私にお鉢が回って来たわけである。

ただしこの事業では、現地での滞在が無料になるうえ、どこの国立公園でも採集できるらしい。そう「口説かれた」。楽しみでもある。

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私の隣にいるご婦人は非常に英語が堪能で、迫力があった。国際環境会議の代表の一人として出席するような偉い人のようである。

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昆虫教室準備

官舎の畑に大きくなるヒマワリを植えた。半日陰なのでひょろっとしているが、それでもいろいろと工夫したので、3メートルを超えた。ようやく1つ咲き始めた。

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昼から日曜日の「セミの標本作製教室」の準備。お昼に金尾君に車をお願いして買い出しに出かけ、それから17時ごろまで作業した。

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椎木講堂で標本に関する重大な問題が発生し、明日、標本を回収に行くことになった。それで、レンタカーを予約しに生協に行ったら、「変化朝顔図鑑」があったので購入した。平静を保ちにくい問題だったので、これを眺めて気を落ち着かせた。アサガオの文化はすばらしい。

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粗食

今日はゼミに出た後、査読を2本片付けて1日が終わった。

相変わらず夕飯はちゃんぽんが続いていたが、さすがに暑いので、昨日から冷やし中華にした。そもそも、福岡には「町の中華屋」がほとんどないので、冷やし中華がなかなか食べられない。でも、スーパーには材料が売っている。作ってみると簡単だった。錦糸卵もうまくいった。

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九大めろん

昨晩の展示準備は本当に疲れた。それで12時ごろ大学にいったら、事務のお姉さんたちが「今日は早いですね!」とのたまった。

そのお姉さんたちに、記念講堂の前でメロンが売っているというので、買うべきだとの進言を受けたので、すぐさま買いに走った。週末には熟すという。独りで1個食べる予定。

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シールがかっこいい。誰かの背中に貼りたい。

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アジアのビワハゴロモ図鑑を購入。いろいろわかってすっきりしたと同時に、出ていないものもあって奥深さを感じた。今年のインセクトフェアで買いまくる予定。

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夏の準備

夏の昆虫教室・展示の準備が本格化しつつある。

今日は「カイコの糸取り教室」の予行演習。楽しい教室になりそうだ。

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小松君の写真展「裏山の昆虫」の準備も開始。今日だけでかなり進んだ。パネル切りは結構コツがいるので、慣れない小松君には難しいようだ。私は小松君の切ったパネルを切り直す作業を行った。案の定、小松君は指先をバッサリと切って、血まみれになっていた。

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奪取村

昨晩、「イッテQ」を見ていて、大学の畑の草が気になったので、今日は鎌を使って、2時間ほどかけて徹底的に草を刈った。疲れたがすっきり。

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トマトが誰かに盗まれているようだ。以前より、農学部の畑で野菜が盗まれると聞いていたが、自分も被害を受けるとは。これからやっとおいしいトマトが食べられると思ったのに・・・。なにか対策を考えなければ。

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マジャク釣り大会

以前から行きたいと思っていた熊本県荒尾市の「マジャク釣り大会」に参加した。「マジャク」とはアナジャコのこと。江戸川放水路河口で何度かやったことがあるが、「本場」の有明海でやってみたい。この大会について知ったのは、七年前の玉置さんのデイリーポータルで、以来、ずっと気になっていた。

http://portal.nifty.com/2007/09/03/b/

荒尾市の広報:

http://www.city.arao.lg.jp/cal_copy/pub/detail.aspx?c_id=7&id=2786

ちょうど梅雨明けの好天。漁協で7時半に受付した。1000人の募集があっという間に埋まってしまったようだ。

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目の前に広大な有明海の干潟が広がる。荒尾干潟は、日本で2番目に野鳥に飛来が多い干潟だそうだ。

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それから大会役員の挨拶があって、8時に干潟へ移動。干潟の真ん中に砂利道が通っていて、ズボズボと足がとられないようになっている。1000人もの人々が沖に向かって歩くのは壮観。

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アナジャコの巣口は干潟の表面から10センチくらい下にあり、まずは泥の表面を削って、その巣口を露出させる必要がある。その作業を「釜立て」というそうで、今回は貸し出し鍬を借りてやってみたのだが、どうにも難しい。

すると、その様子を見かねて、漁師のおじさんが釜立ての実演をしてくれた。ひょいひょいと簡単にやっているが、泥の表面は重い貝の殻が中心で、とても力がいるし、「釜」のなかに水が入らないように土手を広げるように掘っていく必要がある。これがとても難しい。

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さすが有明海。ものすごい密度の穴。おじさんによると、この釜だけで、上手にやれば50匹くらいは採れるという。

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釣り方は面白いものである。まず、穴に書道用の筆を挿す。すると、異物か同種他個体だと勘違いして排除しようと、アナジャコが筆を押し出しに上がってくる。そこを、上手にアナジャコの両方のハサミをつかんで、引っ張り出すのである。しかし、これがなかなか難しい。うまくやらないと片方のハサミをつかんだ時点で、自切してすぐに逃げてしまう。いかに両方のハサミをつかむかにかかっている。

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またまたその様子を見かねたおじさんが、細かくコツを教えてくれた。それから飛躍的に捕れるようになった。と言いたいところだが、実に奥が深く、ちょっと上手になった程度だった。この難しさこそが「マジャク釣り」の面白さだと思う。

おじさんに「お、うまくなったね」と言われたけど、まだまだ。そして、「これで釜立てができるようになったら、こっちは商売あがったりだよ」とのことだった。それくらい、年季を必要とするものなのだ。

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こちらの10倍以上の効率で釣り上げるおじさんにもたくさんいただき、食べるには十分のアナジャコを確保し、干潟をあとにした。

荒尾市の職員総出のお祭りといった雰囲気で、どなたもとても親切で、その点でも楽しい一日だった。また行きたいけど、釜立てができる自信がない・・・。

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1000人もの人たちが干潟のあちこちで楽しそうにアナジャコを釣っていた。それでも、いくらでも掘るところがあるくらい、荒尾干潟は広大だった。

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天ぷらや煮付けなど、どれもおいしかった。一番よかったのは、素揚げして、オイスターソースで炒めたもの。アナジャコは殻がやわらかく、ソフトシェルクラブのような感じなので、ソフトシェルクラブの料理にすべて応用できるものと思われる。もっともてはやされても良い食材だと思う。

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参考