断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

近況

いつの間にか時間が経ってしまった。最近は金尾君の博士論文の最終確認と実験の追い込みが続いている。なかなか記載や同定のほうに戻れない。

今日、合間を縫って、初めてtopoisomerase Iというのをやってみたが、難航しそうな予感....

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また、試しに形態進化に関する別の論文の系統樹も作ってみた。まだまだ領域を足していく予定だが、私の作った属が既知の近縁属とかなり遠いということがわかって安心したり、ほかにもいろいろなことがわかった。

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夕飯は熊本の天草のお土産の〆サバ蒲鉾。とてもおいしい。

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東南アジア大陸部の魚類

最近暇さえあれば見ているサイトがある。それは「Fishes of Mainland Southeast Asia」というデータベースサイトである。

データベースとしての重要性は言わずもがな、これが単純に楽しい。非常に直感的に見ることができ、ページ同士のつながり、検索も非常によくできている。魚の写真と同時に地図を見ながら、「こんな環境にこの魚がいるのか」とうなずきながら楽しんでいる。

欲を言えば、現段階では河川性・流水性種が大半なので、止水域の魚も充実させていただければ嬉しい(それでも現在700種以上と十分すごいのだが)。


Fishes of Mainland Southeast Asia

そろそろ文筆家?

朝からメールの返信や実験など。正月からあまり休んでいないので、疲れが溜まって来た。

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家に帰ると寄稿した『群像』が届いていた。「私のベスト3」という企画で執筆を依頼され、編集の人には面白いと言っていただけた。3枚(1200字)にちょっと詰め込んだかなという印象。

『群像』はもちろん知っていたけど、縁があるとは思わなかった。それで今回、改めてじっくり見てみたけど、とても丁寧に作られた、楽しい文学雑誌である。(私の担当の人も非常に熱心で、丁寧に作られていることは、それだけでも十分にわかったけど。)

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一年の計は

元旦には少し遅れたが、今日からきっちり計画を立てて研究を開始することにした。今年も不良債権のように溜まっている研究課題をできるだけ消化したい。

大学に来てわかったのは、現在の大学や研究機関は、サボろうと思えばいくらでもサボれて、本来の研究以外のことで満足できる場所ということである。

私自身、常にそういう甘えや怠惰と戦っている。今年こそ最後まで「計画」を遂行できればと思っている。

 

大晦日

大晦日は、過去にイソハネカクシの新種をたくさん見つけた場所に行き、冬場はどうやって越冬しているかを確認しにいった。しかしあれだけたくさんいたのに、確認どころか、姿形もなかった。礫層が厚いので、相当深くまで潜っているようだ。夏に再び訪れたい。

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謹賀新年

昨年は節目ともいうべき40歳を迎え、公私ともにさまざまなことがあった一年だった。

大きな出来事の一つとしては、やはり『昆虫はすごい』(光文社新書)の出版があった。予想を大きく上回る反響があり、ラジオやテレビの出演、雑誌や新聞の取材などにも忙しい年になった。昆虫の多様性の大切さや面白さを世間の人たちに知っていただくのが私の研究の目標の一つであり、この本のおかげで機会が増えたのは幸いなことだった。

海外調査のほうは2月のマレーシア、6月と7月のタイ、8月のカンボジアと少なく、あまり長期で出かける機会はなかった。実はアフリカに行く予定もあったのだが、エボラ騒ぎで自主的に延期とした。来年こそはと思っている。

本業のアリ・シロアリ共生昆虫の研究の成果はまずまずで、主著だけで8本ほど出すことができた。どれも5~10年来論文化しなければと思いつつサボっていたものである。同様に発表すべき成果がまだ多数あり、今年はきっちり論文を出す一年にしたいと思っている。

教育面では、優秀な学生たちに恵まれ、今春はそのなかの一人である金尾太輔君の学位取得が目前に迫っている。彼の努力が見事に結実した博士論文となりそうである。

 

良いお年を

今日まで実験。あとでいくつか分類群を増やしたのだが、中途半端に残ってしまった。それと、どうしても1種だけ追加個体が欲しいものがある。3月のマレーシアで絶対にこのTrichotobia gracilisを採らなければ!!(島田さんにかかっている。)

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というわけで、良いお年を。今年は年明けに年賀状を書くことになりそうです。

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好蟻性ミツギリゾウムシ

新しい論文が出ました。

On the myrmecophilous genus Systellus Kleine (Coleoptera: Brentidae),with systematic and biological notes on S. mentaweicus (Senna)    Raffles Bulletin of Zoology

Munetoshi Maruyama, Katsura Morimoto, Luca Bartolozzi, Watana Sakchoowong & Rosli Hashim

Systellus属とS. mentawaicusという種を再記載し、アジアで好蟻性ミツギリゾウムシを初めてアリの巣から採集した記録。もともとはSystellus rexという見た目にふさわしいかっこいい種名で通っていたのだが、今回mentawaicusのシノニムになってしまったのはちょっと残念。

マレーシア調査初期(2005年)に採集したもので、アリの巣からこれがぞろぞろと出てきたときの興奮といったらなかった。ようやく陽の目を見た。

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