ヒゲブトオサムシの19新種
久々に大きめの論文を出版した。ヒゲブトオサムシ属Paussusのhystrix種群の19新種である。いろいろな方にいただいた標本や、これまでに自分で採集したものが中心で、早く出したいと思っていたが、関係者との調整や記載そのものに時間がかかってしまった。ようやく大きな肩の荷が降りた感じがする。すべての全形図を世界一の標本画家、川島逸郎さんにお描きいただいた。論文であると同時に、立派な画集ができたともいえる。お世話になったみなさん、ありがとうございました。
Maruyama, M. (2016)
Revision of the hystrix Westwood, 1850 group of the genus Paussus Linné, 1775 (Coleoptera: Carabidae: Paussinae) I. Descriptions of nineteen new species.
Japanese Journal of Systematic Entomology, 22 (1): 55–86.
『ベストエッセイ2016』に選ばれました。
文藝春秋の2015年新春号の巻頭エッセイとして掲載された「昆虫からヒトを知ること」が『ベストエッセイ2016』に選ばれました。
忙しい時期にバタバタで出してしまったので、あまり自信のある文章ではなかったのですが、読み返してみるとそれなりに書けていたのかな、とも思いました。
ケニアから帰りました
5月26日から6月11日までケニアに行っていました。治安など心配だったのですが、無事に帰りました。心配するようなことは一つもなく、ケニアは人も良いし、食べ物もいいし、調査もしやすいし、とても気に入りました。(おかねはかかりました。)
調査の様子を。
Kakamega 5月28日~6月4日
普通にいたシマウマ
ルリアゲハ
目的はツノゼミで、20種以上採れた。
森の中の草原。
シンジュタテハ
ツノゼミが多かったAcanthus pubescensというキツネノマゴ科の植物
ジュズヒゲムシを採集する松村さん。
アカシアツノゼミを採集する小松君。
ヒイロタテハ
Marigat - Loboi 6月4日~6月9日
初めての半砂漠の採集は楽しかった。
砂漠らしいゴミムシ。
毎日シロアリの巣を掘っていた金尾君。右は日焼けした小松君。
アフリカ名物のニイニイゼミ。
大きな塚。
フラミンゴ(近くのボゴリア湖にて)
金尾君がようやくつかまえたハネカクシで祝杯。
シロアリの女王。
近刊「世界甲虫大図鑑」
もうすぐ出ます!「世界甲虫大図鑑」(東京書籍)!
少々値が張りますが、600種が大きな写真で図示解説されており、1種11円と考えると、かなりお得。むしろ安いです。600種はよく選ばれており、大型美麗種の代表種が程よく網羅され、世界で初めて図示される種も少なくありません。予約購入、ぜひよろしくおねがいいたします。
家庭菜園
ドジョウ掬い
ラオスとタイ
4月27日から5月5日までラオス、5月5日から5月8日までタイにでかけていた。
ラオスは今回で2回目だが、きちんと採集するのは初めて。漠然と北タイと似たようなものだろうと考えていたのだが、その予想は裏切られた。より東アジア温帯的で、中国の要素が強い印象を受けた。
ラオスもタイも大旱魃の影響で、かなり虫が少なかった。狙いはツノゼミだったのだが、それでも素晴らしいものがいくつか採集できた。来年は3月ごろに行きたいものだ。
地震
金曜の深夜は地震の警報で眠れなかった。週末は研究をしようと思っていたのだが、土曜は出勤し、標本の状態確認と対策の作業に明け暮れた。悩ましいのは桐箱で、どうやって落下防止すべきか頭を痛めている。近い将来の(といっても先は見えないが)移転もあるし、福岡に大きな地震が直撃する可能性はきわめて低いそうだし、一時的なものに血税でどれだけお金をかけていいものか考えてしまう。早く移転して、その先で立派な標本棚に配架したいものだ。
休み明け
朝から書類書きなど。午後から新修士1年生の杉本くんと胎中くんと3人で研究計画の相談をした。これから2人一緒に研究の方向性や進捗状況を相談し、互いに意見をしあってもらうようにした。建設的な相談ができたと思う。
それから岩崎くんや上野さんが来て、来月から始まるドジョウ・ウナギ展の準備を始めた。夕方に星野くんとその友達の上木くんが来たので、彼らにも手伝ってもらって、地下室から机を運んで配置した。そして机の上に水槽を15個配置。
結局、21時過ぎまで作業した。最後に運んだ机が60キロ以上あって、岩崎くんと息を切らしながら階段を上って死にそうになった。ぎっくり腰というのはこういうときになるのではないかと思った。