断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

写真:野外

25年以上記録がなく、絶滅も心配されていたオオズウミハネカクシLiparocephalus tokunagaiの再発見の記録が、今月届いた日本甲虫学会のElytraという雑誌に掲載された。2010年4月、私は著者からこの一報を聞き、再発見地である愛媛県に駆けつけた。これはその…

エクアドルで撮影したゾウムシの仲間。 1位になったり、2位に戻ったり→ 対照的な色彩のゾウムシ。上は地衣類の生えた樹皮に良く似ている。下はキラキラと緑色に光っていた。(エクアドル、Zancudo)

エクアドルで見つけたコガネムシ科のCanthonの一種。糞を転がして運ぶ習性がある。 春ですね→ 葉っぱの上に止まっているこの虫を見て、30分以内に雨が降ると予想したらやはり当たった。「フンコロ予報」と呼んでいるのだが、食糞性のコガネムシが葉の上に止…

エクアドルのアリバチ。アリバチというのは地域色が強くて、旧北区から東南アジアにかけては、頭が黒、胸が赤、腹部が黒地に白い縞という、だいたい同じような色調のものが多い。チクリと刺すからか、それに似たカッコウムシ、ハナノミ、カミキリなどがいる…

エクアドルの写真の続き。ハムシはどこへ行ってもきれいである。 なかなかです→ 体こそ小さいが、ハムシほど色彩が豊かで美しい甲虫はないだろう。熱帯に行かなくても、温帯や寒帯の種でさえ派手な色をしているものが多い。ほとんどすべてが植物食で、おそら…

ふたたびカメムシ。 2位を死守しています→ ベッコウバチの仲間はクモを狩ることで知られている。南米には巨大なベッコウバチがおり、一番大きなものは大人の手のひらくらいあり、タランチュラを狩ることで知られている。一方、東南アジアには巨大なツチバチ…

エクアドルで見つけたカメムシ。 2位を死守しています→ 大型のヒラタカメムシの一種で、2センチ近くある。サルノコシカケの生えた倒木で見られた。おそらくキノコを消化して吸っているのだろう。最初に見つけたときにはびっくりして摘んだが、どこにでもいる…

そろそろエクアドルの写真の面白いものが尽きてきたので、ホルダの頭から少しずつ。 離されました→ おそらくドクアマガエルの仲間。上は葉の上で眠っているところ、下はびっくりして飛び起きたところ。カエルといえば一度だけヤドクガエルの仲間を見たが、か…

再びアリ擬態のクモ。 → エクアドルのアリ擬態のクモは全体的に完成度が高かった。色や形はもちろん、大きさまで似せている。写真には撮れなかったが、目そっくりな模様のあるものまでいた。写真はハリアリの一種と(おそらく)それに擬態したクモ。腹部に節…

珍妙なサシガメの仲間。 さすが→ 最初は何かと思った。ガイドのオリベリオはナナフシの子だと言っていたが、よく見たらサシガメの顔をしていた。体長は4センチほど。細い体に腹部がぷっくりと膨れており、前脚にはカマがある。なんとも不思議な虫だった。

エクアドルのコハナバチ。日本のコハナバチは黒地にシマシマのものばかりだが、南米に行くときらびやかなものが多くなる。南米にはシタバチというミツバチの一群もいて、それも同じく青や赤に光り輝く美麗種が多い。コハナバチには北米にも色鮮やかなものが…

エクアドルで見つけた美しいノコギリカミキリの仲間。 おかげさまで→ ノコギリカミキリやウスバカミキリを含むノコギリカミキリ亜科はカミキリ科のなかでも祖先的な形質を多く持つ一群で、夜行性のものが多い。甲虫の夜行性種には地味なものが多いが、ノコギ…

エクアドルで見つけたハリアリの一種(属名わからず)。ヨコバイの幼虫を大事そうに抱えて運んでいた。 おそらく保護して甘露を受け取るのだろう。単なる餌とも考えられるが、そういう感じには見えなかった。 おかげさまで→

これも見たかった虫のひとつ。 おかげさまで→ 種名はまだ調べていないがおそらくオサゾウムシの仲間だろう。大型で、3センチほどある。面白い特徴は吻に長い毛が生えているところである。普通種のようで、光に集まるものを何度かみつけた。

私の撮影は採集のついでなので、三脚を持って歩くわけにもいかず、写真の質には限界がある。また、最近流行の写真(虫の目、広角で背景も写す)にはあまり興味がない(ちょっとは撮ってみたい)。そこでこのごろは、「写真の少ない地味な虫」、「普通の人に…

今回最初に訪れたArchidonaは常に湿度100%で、木々に生えるブロメリアやコケは見事だったが、当然洗濯物は全く乾かないし、われわれのカメラはいきなり不調になった。私のカメラではストロボはイカれてしまい、思うように発光しなくなって、後半はろくな写真…

擬態の続き。こんどは隠蔽擬態である。この種の擬態はバッタやキリギリス、カマキリ、ガなど、植物体上に住む昆虫に圧倒的に多い。写真はいずれもキリギリスの仲間で、それぞれ地衣類の生えた葉、コケの生えた樹皮、コケそのものによく似た模様を纏っている…

エクアドルの続き。 カレハガの仲間の幼虫。モルモットのようにふさふさしてかわいらしいが、触ってはいけない。白い毛に茶色い剛毛が覗いているが、これは強力な毒棘毛で、触ると大変なことになるらしい。ほかにも明るい黄色で巨大なものも見かけた。人間の…

エクアドルの写真はまだまだ続く。 今回も擬態の話し。 Y先生ごめんなさい→ ベニボタルには毒があり、各地でそれに擬態した昆虫がいる。擬態にはさまざまな形があり、代表的なものにベーツ型擬態とミュラー型擬態がある。ベーツ型擬態とは無毒の虫の毒のあ…

今回のマレーシアではほとんど撮影しなかった。重いカメラを持っていくんじゃなかった。 ということで、エクアドルの写真の続き。 クモがアリに擬態するというのは世界各地で当たり前の現象である。熱帯へ行かずとも日本にもアリに似たクモはいる。しかし、…

日本人の間でもっとも忌み嫌われている虫はゴキブリであろう。虫に詳しい人であれば、大部分のゴキブリは野外にひっそりと暮らしていて、人間の日常とはほとんど関わりのないことを知っているが、それでも生理的に受け付けないこともあるようだ。また室内に…

今回の旅行で趣味的に最も見たかった虫はこのツノゼミである。昨日はオオキノコムシの話しをしたが、何と言っても、新熱帯=ツノゼミ、ツノゼミ=新熱帯である。期待通り、実にいろいろなものが見られた。今回の滞在で30種以上見ただろうか。好む木が決まっ…

新熱帯には独特な多様化を遂げた分類群が多い。チョウであればドクチョウやシジミタテハなどがあるだろう。甲虫では何と言ってもカブトムシの多様性がすばらしいが(その代わりクワガタは全体にやや貧弱)、他にもいろいろある。そのひとつが以下のオオキノ…

以前から見たいと思っていたヤマアリ亜科のアリ、Gigantiops destructor。属名は「巨眼」で、その名のとおり目が非常に大きい。活動は活発で、先端の黄色い触角を震わせながら、葉から葉へとピョンピョンと移動する。しかも目が良いので、カメラで追い回すと…

森の中を飛んでいた美しいハネカクシ。大型で、2センチほどある。こういうギラギラのハネカクシは東南アジアには少なく、南米とパプアに多い。恐ろしくすばやく、写真を撮るのに苦労した。いや、正確には撮れていない。実物は全身が明るい青で、もっと美しい…

今回訪れた場所はマラリアの流行地だった。たぶんハマダラカにはあまり刺されていないと思うが、いくら蚊に刺されても気づかない体質なので、念のためにクロロキンを飲んでいる。事前に流行地と聞いていれば福岡で予防薬を飲んで行ったのだが、誰もそのこと…

最初は子供のころに学研の「世界の昆虫」で見て憧れたボウバッタの一種Proscopiidae gen. sp.。今回の旅行で一番嬉しかった虫のひとつ。メスは手のひらくらいの大きさがあり、動きはかなり鈍い。オスはメスよりかなり小さく、動きはかなり早い。びっくりした…

(c)小松貴 (c)小松貴

今回のランビルで唯一、ちゃんと撮影した写真。トゲアリの一種にそっくり擬態した大型のハエトリグモ。行動が変なのでクモかもしれないと思って追いかけたが、実際に指でつまんで軟らかさを確認するまで、アリかクモか頭の中が混乱した。