断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「昆虫はすごい」の裏話1

「昆虫はすごい」(光文社新書)がおかげさまで売れている。Amazonの昆虫部門の第1位をしばらく保っている。この本で私を知っていただき、このブログにたどりつく方も少なくないと思うので、つらつらとこの本に関する裏話を書いてみたい。

まず、1年半前にある仲介編集者から声がかかったことから始まる。「アリの巣をめぐる冒険」を読んで、面白いものが書けると思ってくださったそうだ。それで、「昆虫はすごい」という題で、何か昆虫のすごいことを紹介する本を書いてくださいとの依頼を受けた。

そして、光文社新書で出すことになり、上京して打ち合わせをしたりしたのだが、季節柄、大学の展示の仕事に追われてしまったりして、なかなか執筆を開始できなくなった。私の目次案が仲介編集者に却下されてしまい(結局、それで押し通したのだが)、それ以上考える余裕がなくなってしまったというのもある。また、心のどこかで、こういう本は大物が書くものであって、若造が書くなど畏れ多いという思いもあった。

それから月日がたち、今年の2月にふたたび仕切り直そうということになった。光文社に集まったときには、「4月半ばまでにお願いします」、「こんどこそ締め切りを守ってくださいよ」というようなことを、編集の方々に優しく、困った顔で念を押され、これはやるしかないなと思った。また、2月から4月というのは比較的時間があって、目次を練り直して、執筆に取り掛かるのにもよい時期だった。

続く