断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「鎌田 慧: ドキュメント屠場」

ここ数年、機会があると被差別部落関係の本を読んでいる。屠場とそれを取り巻く問題は、食生活という点でわたしたちと遠からぬ関係がありながらも、一般には知ることのない世界である。屠場とは食肉解体工場のことであり、古くから部落関係者がそこでの仕事に従事してきた。現在でも根の深い部落差別問題であるが、この本はその一側面を具体的に浮かび上がらせている。もっとも、深刻な問題ばかりでなく、様々な解体技法の紹介なども多く、教養書としての価値の大きな本でもある。実際にわたしたちの日常を支える屠場の実態は知っておく価値がある。

ドキュメント 屠場 (岩波新書)

ドキュメント 屠場 (岩波新書)