断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ヴィタリーさん

今日から6泊でカザフスタンのヴィタリーさんというハネカクシ研究者が科博に滞在する。今日まで九州大学に滞在しており、科博のあとには千葉中央博へ行き、そのあとに日本アルプスで採集するそうだ。九大に滞在中も西表島隠岐などを採集してまわったそうだ。西表、九州北部隠岐アルプスと採集すれば、日本の自然の多くの部分を見てまわることができるだろう。

午後にそのヴィタリーさんを東京駅へ迎えにいき、そのあと、野村さんと岸本さんとともに、新大久保の「鳥一」という美味しい鶏料理店で歓迎会をひらいた。話はいろいろと盛り上がるが、どうもヴィタリーさんは和食がお気に召さないようだった。それで、日本に来て何が気に入ったかと聞いたところ、なんと「餃子」だということ。二次会を大久保の上海料理店に移し、カザフスタンの自然の概要(なんともものすごい自然が残っているようだ)を肴に焼酎を一本空け、10時くらいにお開きとなった。カザフスタンは中国の影響を強く受けているらしく、「マントー」という、聞くからに肉饅頭のようなパオーズのようなものをよく食べているそうだ。餃子が気に入ったというのも合点がいく。また、日本に来て、甘みのないパンを食べられないのがつらいそうだ。たしかにヨーロッパのパンには味のうすいものも多くあり、カザフでも似たようなものを食べているのだろう。日本人が米を食べたくなるのと同じ心境かもしれない。

現在ケアリ属クサアリ亜属の分子系統解析を進めている。最近、岡山の長島聖大君というカメムシ屋が採集してくれた標本のなかにモリシタケアリという珍品が含まれていることに気き、DNA解析をしてみたくなった。4年前の標本で、しかも酢酸エチルで殺して乾燥したものだったので、DNAが分解されていないかどうか不安であったが、きょうPCRをしたところ、見事に増えていた。ヤッター!材料が増える!写真の一番右のバンドの薄いものがその標本。