断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

わかむしのMLで虫の和名のことが話題になっている。亜種に和名をつけるべきか、語幹をそろえるべきか、など。また、記載論文に和名を併記すべきかという話題もでた。

記載論文に和名を併記することには、基本的に反対である。掲載誌に関係のある和文抄録か、発表の新鮮なうちに別に和文紹介を書き、そこに和名新称を提案するのが理想だと思う。やはり、欧文論文は、あくまで世界的な一般性を念頭に書くべきだと思うし、和名の重要性は、あくまで日本国内だけの話である。しかし、昆虫の分類の論文では、国内誌の場合、学名と和名を併記することが多い。

また、和名はカタカナで表記するものだが、欧文論文中では、どうしてもローマ字表記することが多くなる。カタカナ→ローマ字の場合はほぼ規則的に変換可能だが、ローマ字→カタカナの場合、いくつもの表記に変換される可能性があり、これは誤解を招く結果につながる。それはローマ字に長音記号の入る場合で、たとえば、「オーストンオオアカゲラ」をローマ字に直すと:

「O^suton'o^akagera」 (^はその前の文字につく長音記号)

となり、基本的にこれ以外に表記の方法はない。しかし、逆にこれをカタカナに直すと、いくつものパターンに変換できてしまう。

「オオストンオーアカゲラ」、「オウストンオウアカゲラ」...など。

ローマ字の地名表記にも同様の問題があるのだが、地名のように既存ものでは、実際にはほとんど問題はない。しかし、和名のように新たに提案するものに関しては、日本語をローマ字で表記すること自体に矛盾が生じることある。

それ以前の問題として、研究者にローマ字表記がまともに書けない人が少なくない。