断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

蕎麦が好きで、有名店に遠くまで足を運ぶこともある。わずか二口で600円くらいもする神田藪蕎麦はたしかにうまいが、別物として立ち食い蕎麦で食べる蕎麦も結構好きだ。ちなみに、蕎麦というのは東京の文化であり、それなりの店に行けば、長野や新潟で食べるより、圧倒的に東京のほうが美味しいと思う。

今日は朝の8時くらいに品川駅構内の立ち食い蕎麦へ寄った。こなれた感じの店で、多くの店員が手際よく分業していて、常連と思われるサラリーマンたちで賑わっていた。

手際の良さにも増して、なにより量が多いことがその店の特徴に思えた。山盛りの太い蕎麦に、たっぷりのネギが乗っている。蕎麦は製麺所の箱から取り出したものをそのままドンブリに分け、そこに温めた汁をかけるだけの、ごく簡単な作りである。しかも、かき揚も出来合えで、インスタントの「どん兵衛」の中に入っている奴の生のようなものである。(味もそっくり。)

はっきりいって、味は上等とは言えない。しかも、それほど安くもない。これは品川駅構内という立地からして仕方ないであろう。しかしそれでも人気があるのは、以上のような手際の良さによる速さとその量であろう。

いつも自分の行くのは、自宅近くの駅にある立ち食い蕎麦だが、そこにはいつも揚げたてのかき揚や天ぷらがあり、そばやどんぶりも温めてから出してくれる。また、蕎麦は細く、普通の蕎麦屋の蕎麦に引けをとらない味である。

立ち食い蕎麦屋には明らかに人気店と不人気店があるが、品川も自宅近くもどちらも人気店である。しかし、内容は対照的。個人的には自宅近くの蕎麦屋が好きだが、それは単に行き慣れているだけだからかもしれない。また、立ち食い蕎麦屋というのは、急いで食べる人たちや安く上げようという人たちで賑わう店であり、地域ごとに独特の雰囲気のようなものがあり、味だけでは判断できない何かがある気がする。