断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日はメールのやりとりに終始した。久しぶりに秋野さんからメールを頂く。メールでは書ききれないほど話したいことがあるので、「こんど伺います」ということにした。お忙しいのにいつもお世話になりっぱなしだが、とても勉強になるので、今後もお世話になってしまいそうだ。

横須賀在住でホタルの専門家(兼、生物画家)の川島さんに触角の光るヒゲブトオサムシについてしばしばご教示いただいているが、今日も面白い情報をいただいた。インドのCerapterus latipesという種がパチパチと音を立てて光るという古い観察例の話し。これを聞いてすぐにひらめいた。ヒゲブトオサムシ亜科はヘッピリムシの名で知られるミイデラゴミムシ(を含むクビボソゴミムシ亜科)に近縁とされていて、その理由の一つに、外敵に対する起爆装置の存在がある。起爆装置というのは、過酸化水素とヒドロキノンをそれぞれ含んだ2つの袋を腹部に持っていて、両者を分泌することにより、2つの物質が化学反応を起こし、水蒸気とベンゾキノンからなる100℃以上の気体を噴射するというものである。おそらく、Cerapterus latipesの例はこの化学反応を発光に見立ててしまったのであろう。

秋から長旅の予定だが、その前に済ましてしまいたい仕事が山ほどある。その一つとして、日本産アリノスハネカクシZyrasの整理がある。今日は先日のde Rougemont氏から長らく懸案だった北京産の標本が届き、いくつかの種の正体が判明した。一つの収穫は、「モンクロアリノスハネカクシ」として図鑑に出ている種が未記載種であることがわかったこと。写真の左側の大型美麗種である。今月半ばから開始し、10日で原稿を書き上げる予定。こういうのは徹夜してでもノルマを達成しないといけない。原稿と言うのは、明確な期限を自分に課さないと、決して終わらない、という偉そうなことをいつも後輩に言っているので、自分も実行したい。

写真は互いによく似たアリノスハネカクシ属の日本産3種。寄種特異性は弱く、各種が様々な種のアリを捕食することが知られている。


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