断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

知り合いの研究者から、マレーシアのGombakで採集した糞虫に新種があり、記載するとのご連絡をいただいた。種小名はお世話になっているロスリーさんのお名前をお願いした。かなり大型で目立つものなので、きっと喜んでいただけるだろう。

いつも海外へ採集にいくときには、とりあえず甲虫に対象をしぼり、できる限りのものを採集することを心がけている。糞虫はもちろん専門外で、他の研究者へ託すほかないが、こうやって成果になると、採った甲斐があったというものである。

写真は糞虫採集の様子。靴下に自分のブツをいれ、木の枝から地面すれすれにぶらさげる。その下に10%酢酸を入れた皿を埋める。匂いにひかれて飛んできた糞虫は、靴下にぶつかって、酢酸の海へ落ちてしまう。

基本形はインドネシアの研究者が行っているものであるが、保存性を考えて(頻繁な回収の手間を抑えるため)酢酸を受け皿に入れた。また、人糞はイノシシや野犬の大好物で、そのままでは盗られやすいが、酢酸はそれらに対する忌避効果がある。本当ならば生かして採集し、酢酸エチルで殺すのが、きれいな標本を得るには良い。しかし、糞虫にも肉食のものが多く、生け捕りは共食いを招き、いたずらに標本を減らしてしまうことがわかったので、近頃ではこの方法が最高だと思っている。

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