断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

一昨日は寝る前に「白夜行」を読み始めた。読書は活字を読まないと眠れないための習慣である。軽く触りだけ読もうと思ったのだが、あまりの面白さに気がついたら空が白み始めていた。昨日は寝不足で採集。そして今朝は大寝坊。

博物館へ行く途中、花壇を耕す様子を眺める。こういう仕事はメキシコ移民と相場が決まっていて、スペイン語が飛び交っている。2週間ほど前にジャーマンアイリスを植えたばかりなのだが、その植え方がとても雑で、本当に根付くか心配だったのだが、案の定、すぐに枯れ始めた。こんどは何を植えるのだろうか。こちらの花壇には驚かされることが多い。その趣味の悪さ、いや奇抜さといったらない。パンジーとコリウス、ここまではいい。そこにクワズイモやゴクラクチョウカまで寄せ植えするのだから意味がわからない。色調が統一されていれば、変わった組み合わせも面白いが、そういった意図も感じられない。

博物館の玄関の前でショウジョウコウカンチョウのきれいな雄が2羽の巣立ち雛に忙しそうに餌を与えていた。人通りの多い場所である。日本だったら興味のある人が近づいてしまいそうだが、こちらの人はまったく気づかずに通り過ぎていく。アメリカ人の自然への無関心というのも悪くないものだと思った。

昨日いちばんうれしかったのはオオチャイロハナムグリの一種Osmoderma elemicolaである。 日本にはオオチャイロハナムグリO. opicumというのがいるが、ずっと憧れの虫であり、何度かブナ林へ狙いにいったのだが、結局出会わずじまいだった。そもそも狙って採れる虫ではないのである。アメリカで同属のものがたくさん採れるとは。

属名は「臭いのある皮」という意味で、雄は魅力的な麝香臭を発する。箱から取り出して何度もクンクンと嗅いでいるが、まだどの個体も羽化したてで、あまり匂いが強くない。しばらくは果物を餌にして成熟を待とうと思っている。

また、英名をhermit flower beetleという。flower beetleというのはハナムグリの英名であるが、hermitは世捨て人や隠者、乞食という意味である。麝香臭をそういった人々の体臭に例えたのだろうか。それとも樹のうろで過ごす暗い印象をあてたのだろうか。

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はてなメンテナンスのため、今日は研究室からマレーシア写真が送れませんでした。悪しからずご了承ください。

おまけで最近の撮影道具を紹介。マレーシアで小松君の使っていた方法である。要はパナソニックコンデジに数種のレイノックスの接写レンズをつけるというものである。レンズは取り外しはワンタッチで、対象の虫の大きさにあわせ、3倍、6倍、12倍と使い分けている。Lumixコンデジなのに1000万画素以上あり、レンズ径が大きいために解像度が高い。それにレイノックスのレンズをつけると、微小な昆虫の毛までがはっきりと映る。いままで使っていたマクロレンズに接写リングという組み合わせでは、倍率をあげるごとにボケやすくなるが、レイノックスのレンズによる拡大ではそれがない。

しかしコンデジならではの欠点がある。それはシャッターのタイムラグである。私の持っているCoolpix4500よりははるかにましだが、それでも瞬間を捉えるのは難しい。歩く昆虫を撮るのは至難の業(小松君は平気で撮るのだが)。また、解像度こそ高いが、表現力が今ひとつである。自動的な画質調整が効きすぎているのか、妙にギラギラとした、人工的な絵のような写真となることがある。それでも、下のノバラに来たハナカミキリのように、割と良い色が撮れることもある。

いずれにしても一眼よりはずっと軽いし(コンデジとしては重く、お世辞にもコンパクトとは言えないが)、レイノックスレンズをはずすだけで景色も撮れる普通のデジカメに変わるのは非常に便利である。海外調査にはニコンのD70も持っていきたいが、ちょっとした採集にはこのセットで十分に必要な写真が撮れる。

Panasonic デジタルカメラ LUMIX FZ50 ブラック DMC-FZ50-K

Panasonic デジタルカメラ LUMIX FZ50 ブラック DMC-FZ50-K

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