断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「SceptobiiniはFalagriiniの姉妹群じゃないよなー」という夢で朝5時に目が覚めた。相当追い込まれているのだろうが、普段全く考えていなかったことだったので驚いた。

夢に出てくるハネカクシといえば、潮間帯性のオオズウミハネカクシLiparocephalus tokunagaiがよくある。とにかく採ってみたい。和歌山白浜の京大臨海試験場で1940年代に得られ、阪口浩平博士が1944年に記載している。学名は最初の発見者である徳永雅明博士にちなむ。その後、神奈川県、愛媛県、鹿児島県でも得られているが、ここ20年ほど得られていない。神奈川の産地には最高の時期に2回訪れ、周囲もくまなく探したが、環境が残っておらず、絶滅した可能性があると感じた。和歌山でもその後いろいろな人が調査しているが、得られていない。採集の難しい虫だが、生息に適した環境が失われていることは確実であろう。その環境とは波静かなで水清らかな遠浅の磯で、干潮時に潮間帯下部の海藻の根元にいるという。

ちなみに阪口浩平博士は日本昆虫博物学の名著中の名著「図説 世界の昆虫」シリーズの著者である。この本は6巻セットで10-20万円と手に入れにくいが、大抵の博物館や大学図書館にはある。何よりも解説がすばらしく、昆虫に関する日本語の書籍でこの本にしか出ていない情報は非常に多い。縮小版にして再販してくれれば、相当売れると思うのだが。