断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨日は杉並区の故人の収集家の方のお宅へ、標本引取りのご挨拶と下見に伺った。その方はお若いときから故佐々治先生と交流があったそうで、佐々治先生の標本がこちらにあることから、ご子息がご寄贈を決めてくださったそうだ。内容はヒメテントウがほとんどで、きわめて質の高いものだった。佐々治標本に加わって、これでますます九大のテントウムシの標本は充実することになる。現在、若手にテントウムシの研究者がほとんどおらず、とくに分類が難しく、応用上重要なヒメテントウは同定できる人さえ少ない。テントウムシには他にもいろいろと面白い課題があるので、やる気のある学部生がいればぜひ勧めたいと思っている。
それから科博へ行き、西海さんのところで油を売り、野村さんのところでまた油を売る。夜から新大久保の蕎麦屋「近江家」でカミキリの亀沢さん、ハマキガの神保君、ムシヒキアブの宇津木君、マメゾウムシの加藤君、タマムシの福富君と一杯やる。私が東京にいたときにはしょっちゅう若手虫屋で飲み会を開いていたのだが、最近はないようだ。みんな年々忙しくなる。
今日は10時過ぎの新幹線で東京を発ち、16時近くに大学へ着いた。郵便物の片付けであっと言う間に時間が過ぎる。嬉しかったのは科研費(若手スタートアップ)の内定。7月の時点でほとんどすべての研究費を使い果たし、事務の人に「大丈夫ですか? もう9万円しかありませんよ」と心配され、「大丈夫、大丈夫、科研費があたるから」と嘯いていたのだが、これで一安心。なんとか研究が続行できる。