断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

最近は全く研究できていないのだが、とある雑誌の締切ができたので、合間を縫って解剖を始めることにした。それで、試しに使ったこの「ハガロン」というやつが、小型の甲虫の解剖にすごくよいことがわかった。
何年か前に鞘翅学会の例会でカミキリの露木さんが、「これを1滴たらすとすぐに軟化、整脚」できますとおっしゃっていたのを聞いた。以降、各地でこのハガロンの噂を聞いた。瞬時に昆虫の体内に液体が滲み渡り、まるでお湯にしばらくつけたように柔らかくなるらしい。しかも、筋肉の硬くなってしまったものも、簡単に柔らかくなるという。
この理屈を小型のハネカクシの乾燥標本に応用してみたわけである。お湯につけると翅が開いたりすることもあるので、その点でも優秀である。ただし、お湯につけるよりは少々硬いので、解剖技術が少し上級の人に向く。
もともとは切手はがしに使う薬品で、たしかに切手もよくはがれる。ハガロンを作った人も、まさか昆虫の解剖に使われてるとは思うまい。その前に、最初にハガロンを昆虫の標本作製に用いた人はすごい。

お昼に箱崎の白雲軒というラーメン屋でチャンポン。お世辞にも清潔とは言えない店だが、野菜たっぷりのトンコツのチャンポンはおいしかった。