断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

佐賀の吉野ヶ里温泉で職業虫屋(おもに環境調査関係)の忘年会があった。夕方に着いて、温泉に入ってから、宴会が始まった。乾杯ののち、一人一話。九大へ来て1年がたち、自分が何をすべきかだんだんと見えてきた私は、若手を育てることを目的とし、昆虫分類の講座を開くことなどを話した。
吉野ヶ里温泉の卑弥呼の湯という場所で宴会があって、その隣の吉野ヶ里温泉ホテルに泊まった。卑弥呼の湯の宴会は温泉がついて2500円(+500円のビールと焼酎代。飲む人が少なかった)という格安で驚いた。
当日の様子と九大の標本受け入れについて今坂さんにご紹介いただいた。ありがとうございます。
http://www.coleoptera.jp/modules/xhnewbb/viewtopic.php?topic_id=74

鴨鍋と刺身
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時を同じくして横浜では神奈川県博の高桑さんの退職と還暦のお祝い会が開かれていた。私も高桑さんには大変お世話になっていたので、出ようかどうかかなり悩んだが、いくつかの都合で残念ながら参加できなかった。その会の開催にともなって、「高桑正敏の解体虫書」という冊子が出版された。232頁の大冊で、さまざまな人が寄せた虫屋の古き良き時代を匂わせる話しを中心に、中村さんによるコブヤハズカミキリ入門や永幡さんによるトホシカミキリ族の生態といった力作の原著もある。通じて高桑さんの人柄や周囲の人の高桑さんへの愛情のにじみ出るようなすばらしい内容だった。表紙は高桑さんが母島で採集した1頭の標本しかないというミイロトラカミキリ。
本書を読んでしみじみ思うのは、この時代の虫屋はみんな本当に仲が良かったということ。今の私の同世代も喧嘩こそしないが、常識的な付き合いに留まっている淋しさがある。