断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨日からコーネル大学の太郎(Taro Eldredge)君が来ている。それに合わせて愛媛大の千田君にも来てもらい、昨日の午後はヒゲブトハネカクシ教室をした。非常に難しい分類群だが、10年研究して気付いたことがいくつかある。漠然とした系統関係や、形質進化の極性、族の固有派生形質、分類の問題などなど。わずか2時間あまりだったが、我ながら非常に濃い内容だったと思う。
夕方から大学の近くの居酒屋で昆虫学教室の学生さんに太郎君の歓迎会を開いてもらった。アメリカでは研究室の人間関係が希薄だそうで、みんなの親切に感激していた。
太郎君は今年から大学院で、直接、博士課程へ行くそうだ。日本では修士を取ってから博士課程と決まっているが、アメリカでは修士と博士それぞれが別の目的であって、博士を取ることを目的としている人は、いきなり博士過程に行く場合も多いそうだ。ただし、普通は博士課程に5-6年在籍するそうで、研究期間としては日本と変わらない。なお、コーネル大学の昆虫学教室は内部の学生の進学は禁止で、他所の大学院を受験しなければならないそうだ。それで私は先月3通の推薦書を書いたのである。
今日の午前中は会議だったので、一人で採集に行ってもらっていた。午後からは千田君も来てヒゲブトハネカクシ教室の続きで、思いついた追加事項を話した。太郎君はますますヒゲブトハネカクシが面白くなったそうで、将来はヒゲブトハネカクシの教科書を書きたいと言っていた。確かにその価値のある面白い分類群で、甲虫では間違いなくもっとも多様な亜科であろう。