断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

写真が好きでこのブログを見てくださっている方も多いようだが、最近は全然出せなかったので、久々に。町田の柴田泰利さんから貴重なハネカクシをいただいた。オオズウミハネカクシLiparocephalus tokunagai Sakaguti, 1944という潮間帯ハネカクシである。極端に巨大な頭部に極端に小さな胸部、日本屈指の奇虫だろう。大きさは5mmほどと、潮間帯ハネカクシとしてはかなりの大形種である。「図説世界の昆虫」を書かれた阪口浩平博士が京大の学生時代に記載されたもので、種名はユスリカの大家、徳永雅明博士にちなむ。「図説世界の昆虫」の「ユーラシア編」には本種の解説と発見の経緯が書かれている。それによると、遠浅な磯の干潮時に露出したホンダワラヒジキの群落を歩くのがみられるという。正真正銘の絶滅危惧種レッドデータブックでは希少種)というべきもので、ここ20年以上採集されていない。最初に見つかったのは和歌山の白浜だが、その後は見つかっていない。それから三浦半島、愛媛、鹿児島でも発見されている。三浦半島の記録地には訪れたが、当時とは水質が大きく変わっており、気配すらなかった。愛媛でも同様だそうで、かなり敏感な種のようだ。九州の瀬戸内海側や太平洋側にはきれいな磯が残っているそうなので、今年は再挑戦したい。