断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

12時過ぎの飛行機に乗り、14時半に石垣空港到着。ハンミョウ屋の橋村さんに迎えに来ていただき、その足で石垣港へ行く。15時半の船で上原に行き、船を下りたところで待っていたレンタカー屋さんに早速車をお願いする。レンタカー屋さんのご婦人はジェーンバーキンに似た雰囲気だった。
早速、タイワンシロアリの巣を掘りに向かう先は船浦。去年見つけた場所の付近を掘ると、呆気なく菌園が出てきた。桶一杯に菌園を取ると、もう薄暗くなっていた。橋村さんは最近西表島に移入されたという大型のハンミョウ、ヤツボシハンミョウCicindela aurulentaをたくさん採集していた。まだ島全体には広がっていないが、それも時間の問題だろう。非常に数は多い。
18時過ぎに上原の食堂へ行く。フーチャンプルーを食べていたら、後日お会いしようと話していた細さんが「ボリューム満点、野菜ソーキソバ」を注文しているのに気づいた。
それから宿泊先の「いるもて荘」に荷物を降ろす。雰囲気のよいユースホステルで、海に遊びに来ている若者が多く、虫屋には似合わない雰囲気である。
それから車を走らせ、夜の干潟へ。遊びながら干潮を待つ。立派なオカガニがヒルギの林のなかを歩いていたり、水際をボラが跳ねたり、とてもにぎやか。その前にものすごい風で、繊細な虫取りにはよい天気ではない。
目的はキバナガミズギワゴミムシBembidion (Armatocillenus)の仲間なのだが、なかなか出てこない。完全に干上がって、橋村さんに「ぜんぜんいませんねー」などと話していたら、キイロキバナガミズギワゴミムシB. kasaharai足元をうろちょろし始めた。それに気づいたら、見渡す限りキイロキバナガミズギワゴミムシだらけだった。干潟の上を走り回り、交尾をしたり、餌をくわえていたり、見ていて面白い。干潟の中にある岩場を覗くと、そこにはクロキバナガミズギワゴミムシの近似種B. cf. tokunoshimanumがいた。こちらは数が少ない。たまにナギサハネカクシの一種Bryothinusa sp.も歩いている。
宿へ帰る途中、船浦の手前の干潟に降りると、コトヒキが浅い水のなかで眠っていた。良い干潟なのに虫はいない。虫のいる干潟というのは、本当に微妙な条件を満たした場所に限られる。
それから宿へ帰り、タイワンシロアリの菌園から共生昆虫を取り出す作業。部屋の明かりでは薄暗く、見落としがないか心配だったが、いくらかの虫を得る。窓をあけて作業をしていたら、部屋のなかがカミキリモドキだらけになってしまった。橋村さんはそれを採集している。