断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

D1の吉村さんの調査に便乗するかたちで佐賀県山間部へ採集に連れて行ってもらった。吉村さんの目的はツチガエル。私の目的は「九州北部の希少な魚類」展示水槽用のドジョウである。ドジョウなんてと思うかもしれないが、福岡市内では絶滅寸前だそうである。ツチガエルも福岡の平野部にはほとんど残っていないそうだ。
まずは某湿原へ行く。湿原は立ち入り禁止なので、そのまわりの田んぼで採集しようと思っていたのだが、湿原の監視員の方によると、周辺の田んぼも保全地区に入っているという。そこで、中島さんに去年連れて行ってもらった池へ。池と水田の間に溝があり、去年はそこでドジョウが採れた。
環境は全く変わっていない。網で溝を掬うと、早速、ピチピチとドジョウ、オタマジャクシ、子ガエルが入った。ツチガエルもすぐに見つかり、しかも数が多い。しばらく掬ったらクロゲンゴロウもたくさん採れはじめた。これは「ゲンゴロウ」展示水槽に足りなかったもので、とてもうれしい。
それから周辺の田んぼを見てまわる。どこもカエルが多い。多い順にトノサマガエル、ツチガエル、アカガエル、アマガエル、シュレーゲルアオガエル。畦を歩くたびにポチャンポチャンとカエルが水田に飛び込み、トノサマガエルは今日だけで何百見たかわからない。レッドデータブックを見ると、トノサマガエルは福岡と長崎では絶滅危惧I類だが、佐賀県では減少傾向がないという。佐賀県でも平地では減っていると思うが、たしかにびっくりするほど多かった。
吉村さんのもう一つの目的はシマヘビ。聞くところによると多数必要らしい。これも首尾よく見つかった。やはり餌のカエルが多いからだろう。トノサマガエルを捕まえようとして失敗した個体を捕まえた。吉村さんは捕まえるのがうまく、私は4対2で負け、ちょっと悔しかった。(まだまだ足りないそうなので、シマヘビを見つけた学生さんは採ってきてください。)
それにしてもすばらしい水田環境で、次から次へと飛び出るトノサマカエルの姿が忘れられない。やっぱり調査は楽しい。展示物確保とはいえ、とても良い息抜きになった。

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静岡の空港が開港したという。学部生のころ(15年くらい前)に環境アセスメントの調査で、猛禽類、両棲爬虫類、昆虫類を手伝った。猛禽はオオタカで、藪漕ぎをしてスギの木の梢に巣を見つけたのを覚えている。スギの植林ばかりなので、虫はそれほど面白くなかったと思うが、林内にヒメボタルが多く、夜間調査の際に見たゲンジボタルの群飛が印象的だった。