断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

沖縄のセミ―生態写真と鳴き声で知る全19種」と「沖縄の鳴く虫 50種」。どちらもすばらしい図鑑だった。セミは沖縄に分布する全種が網羅されており、成虫の同定に十分な写真が掲載されているほか、生息状況の手がかりとなる抜け殻も図も充実している。付属のCDには各種の鮮明な鳴き声もある。八重山の米原の海岸林にわずか数十頭が生息するというイシガキニイニイ(日本産昆虫で最も危険な状況にある種の一つ)ももちろん掲載されており、声を聞きながら解説を読むと何か切ない気持ちになった。鳴く虫は沖縄ならではの熱帯系の種が多く、本土の種に馴染みのある者にとっては新鮮であった。これも付属のCDに声が入っており、虫の顔を見ながら聞き比べるのも面白い。近縁種の区別点も書いてあり、とくに難しいコオロギ類もわかりやすく解説してある。