断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

烏山さんの標本を見ていると、ギョッとするものが見つかる(当たり前だが)。昆虫標本の流通量は産地国の法改正、治安情勢、環境の変化、採集法の確立などによって流動するので、価格は水物に等しい場合があるが、これらの種はいずれも変わらぬ珍品である。これから在野の収集家の寄贈が増えるにつれ、標本の目利きの能力が学芸員には問われるし、わかる人の手助けが必要になると思う。たとえば何も知らずに「変わったムシだな」と、これらの標本を長期の展示に使ってしまう(必ず劣化する)のは間抜けすぎる。私もチョウのことは全く素人だし、甲虫もまだまだ。このままでは下手なことをしかねないので、昆虫標本の希少価値をしっかり勉強しなければと思う。
1番目はAaata finchiという一属一種のタマムシで、イラン南東部からアフガニスタンパキスタンの国境付近に分布する。大型の個体は70ミリを超え、アフリカから旧北区では最大のタマムシ。場所柄採集が難しいうえ、生息地でも少ないらしい。異様な貫禄がある。
2番目はニュージーランドのクワガタ類Geodorcus spp.。生息地では少なくないようだが、採集は禁じられており、入手は困難になっている。これだけ並んでいることは滅多にないだろう。
3番目はアフリカ西部の小島、プリンシペ島に固有のウスバカミキリMacrotoma hayesiで、カミキリムシではアフリカ最大の巨大種。個体差が大きく、これだけ大きな個体(120ミリ以上)は少ないだろう。
ちょうど杉浦さんが島の生物の大きさの話を書かれているが、カミキリでは、アジア最大種のXixuthrus herosもフィージーのビティレブ島だけに分布するのは興味深い。
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