断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ワスマン擬態という言葉がある。アリやシロアリの巣に住む昆虫が、全身あるいは体の一部を寄主を似せて、巣から排除されるのを免れるための擬態である。写真のアリの大顎の内側についている「出っ張り」にお気づきだろうか。これはダニの一種Circocylliba sp.で、兵アリの大顎の内側だけを住み家とし、体表の毛の生え具合を大顎の内側に擬態しているといわれている。兵アリの大顎は小型の働きアリが掃除をするが、それでもこのダニが気付かれずにいるのは、擬態のなせる業といえるのだろう。巣のなかでも数の少ない兵アリを寄主とし、その大顎の内側だけに寄生し、しかも体表を寄生部分に似せているとは、驚くほかない。グンタイアリに寄生するダニは数百種にのぼるといわれており、脚の爪の隙間や胸の一部など、部分部分に特化したものが少なくない。ところでこのダニ、一見邪魔そうに見えるが、大顎の機能には支障ないようだ。(Archidona)
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