断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

発電機や蛍光灯等の荷物はすべてダンボールに詰めて発送した。朝一番で宿を出て、大原でレンタカーを返す。宿のそばの上原で船に乗れるのに、なんで大原で借りたかというと、大原発の船は欠航しにくいためである。途中、仲間川河口で虫を探すが、暑さで10分ともたなかった。シロヘリハンミョウがたくさんいた。
石垣について港の近くでソーキソバを食べ、早々に空港へ行く。原稿を書こうと思ったが、うっかり出発直前まで寝てしまった。
今回の行き帰りでは柳田國男の「遠野物語 (集英社文庫)」を読んだ。神隠し、河童、天狗、狐など、岩手県遠野市での当時の「出来事」の口承を綴った本である。巻頭にある「この書を外国に在る人々に呈す」という一文が本書の意義をよくあらわしている。日本文化の奥底も知らずに西洋文明の取り込みに走っていた当時の有識者に対するもので、これはいまの日本人に対しても投げかけるべき言葉かもしれない。そんな堅いことはヌキにしても、当時の人々の自然に対する心の在り方が伝わる、とても面白い本だった。ところで出版当時の柳田國男は35歳で、この本が日本の民俗学の出発点と言われている。35歳といえば今の自分と同い年で、この点でも考えさせられるところが多かった。