断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

昨晩は遅くまで論文の原稿を書いており、8時過ぎまで眠ってしまった。野村さんと中瀬君が蛍光灯の受けのソーティングをしており、先日のPedinopleurusがいくつも入っていた。
朝食はご飯のうえにオムレツを載せたもの。ワタナさんたちは雑炊のようなものだった。
ワタナさんたちと野村さんは車であちこちをめぐることに。私と中瀬君はコテージの付近で採集することにする。朝食後にベッドでウトウトしていたら、中瀬君がヒメサスライアリを見つけたという。早速その場所へ出向く。
見ると昼間だというのに引っ越しをしているところだった。興味深かったのは、運んでいる餌アリである。ヒメサスライアリはアリを専食し、多少とも餌の選好性がある。このヒメサスライアリが運んでいたのはアシナガキアリだった。アシナガキアリはアジアの各地で移入種とされており、自然分布は明らかとなっていない。そして、マレー半島では絶対にヒメサスライアリの餌とならないアリである。これをみて思ったのは、こちらのヒメサスライアリとアシナガキアリには長い付き合いがあった。つまり、アシナガキアリが少なくともこの付近では土着のアリだということである。バンコク近郊のKhao Yai国立公園ではアリスアブやコガネムシと共生しており、その自然分布を確信していたが、今回の観察でこの考えが補強された。
地元の方がバナナをくれた。適度な硬さで非常においしかったが、大きな種が入っていた。

昼食は豚の干し肉の炒め物と揚げ卵。
このヒメサスライアリは最初に見つけたものと同種で、ハネカクシも同じものが追加できた。移動先の巣の場所を確認したので、午後はそれを掘ることにする。朽木のなかの空洞に仮巣があったので、多量の幼虫ごとバケツに移し、エタノールをかけて殺し、仕分け作業に移った。結果、少々のハネカクシと翅なし脚なしのノミバエVestigipodaの1新種が得られたのみだった。巣を採集した際にアリに刺され、少々疲れてしまったので、夕方まで論文を書きつつゆっくりする。
夕食はエビのカレー、野菜炒め、エビの塩辛、オムレツ、エビのてんぷら、ソムタム、アカメのスープ。
今日も見事なお月見。しかし明け方には月が隠れるので、蛍光灯のトラップは明朝に期待。