断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時起床。ラーメンを作って、2人を起こす。疲れがたまっているようで、2人ともよく眠る。
まずは崖の上の蛍光灯トラップの回収に行く。明け方まで雨だったせいで、虫の量が少ない。それから昨晩のビームライトトラップの回収品を見る。非常に虫が少なかったが、大形のネジレバネが入っていた。
それから19マイルで仕掛けたFITの採集品から大形の甲虫を抜き出して、畳紙に並べる作業を進めた。その甲虫とは、エンマコガネ、アカマダラセンチコガネ、キボシセンチコガネ、ゴキブリゴミムシ、大形のハネカクシなど。そこから一通りの種を抜き出して、今日いらっしゃる別府さんに差し上げる準備をした。
昼過ぎに昨日のマラヤ大の研究者が来て、同定の結果を渡し、研究の相談を少しした。本業はクロバエ科の群集だが、同定できずに困っているとのことだった。こういった場合、安易に他者を紹介するのは難しい。
今日はほとんど雨の気配がなく、なかなか良い天気である。吉村さんは信じられないほど遠くの山へ登ってきたそうで、途中で沢に落ちて軽い怪我をしたとのこと。田中君はバッタを採集していた。退屈しのぎにサルに向かってお菓子を投げたら、集団でやってきて大変なことになった。

18時に蛍光灯トラップの点灯に行った。今日は条件が良いように感じられたので、崖の上とその下の2か所で点灯した。崖の上はアルカリ電池で明朝まで、その下はマンガン電池を入れ、今晩回収することにした。
宿舎へ戻ると別府さんがいらっしゃっていて、ドリアンにマンゴスチンスターフルーツ、バナナを買ってきてくださった。とてもうれしい。とりあえずBukit Tinggiの中華街へ食事に行くことにした。ティラピアの甘酢ソース、鶏のから揚げの甘酢ソース、イノシシのカレー炒め、野菜炒め、チャーハンを頼んだ。4人で51リンギ(1400円ほど)だった。
それから宿舎へ戻り、果物を食べる。ドリアンは「猫山王」という最高級品種だそうで、香りがよく、とろけるような肉質で、びっくりするほどおいしかった。食べているときにベニモンコノハが宿舎の電灯にやってきた。

22時より道路脇でビームライトの灯火採集を始めた。別府さんはその先にある伐採地へ出かけた。少々風があり、虫の集まりはあまり良くない。吉村さんはカエルの餌用に蛾を採集していた。23時半に切り上げた。
宿舎へ戻って、別府さんにお別れした。もしかしたら最終日にもお会いできるかもしれないとのことだった。それからしばらくして、吉村さんがビデオカメラの入った鞄をビームライトの場所に忘れたというので、3人で取りに行くことにした。最初は1人で行くと言ったが、誘拐の多いこの国で、そういうわけにはいかなかった。星空がすばらしかった。
それから崖の下の蛍光灯トラップの回収と朽木の見回りをした。いつもとあまり変わらなかったが、菌食性で青い金属光沢のある大形のハサミムシが多数得られた。鋏の形に明瞭な2型があり、一つは栓抜き型、一つはクワガタ型である。
田中撮影
宿舎へ戻り、こんどは私だけでゴキブリゴミムシの採集にでかけた。いつも見かける木に今日も変わらず何頭も張り付いていた。決まった木に集団で集まる理由は不明で、今日はじっくりと観察したが、なにをしているのかは不明のままだった。もう一つの目的は先日逃がした未採集のゴミムシダマシだったのだが、それは見つからなかった。
2時過ぎに就寝。