断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は夕方からリーセントホテルで農学分野の4年生の卒業パーティーがあり、スーツを着込んで出席した。女子はみんな着飾っていて、「先生もスーツを着てきてください」と3年生にいわれた意味がわかった。昆虫学教室の5名の4年生のうち、2名は進学、3名は就職して出て行ってしまう。今日出席して、そのことを改めて実感した。出て行かれるほうはとても淋しいものだということがよくわかった。
二次会は大学近くの居酒屋で、院生の馬場君と「分類学とは」とか、ひいては「科学とは」などという議論をした。ちょうど修士のころに去るメーリングリストでこの種の議論が盛んに行われ、当時の学生は否応なしにこの問題について考えさせられた。下らない意見(あくまで私が下らないと思う意見:全く生産性のない意見)も多かったし、水掛け論も少なくなかった。当然のことながら結論など出るものではなかったが、分類学に対するさまざまな人の考えを知ることができ、議論そのものは非常に意味のあるものだったと思う。そして学生同士、とくに分類主体の学生と生態主体の学生の間で、そのメーリングリストの続きのような議論を毎晩のようにしたものだった。
それから10年以上が経ち、九大で馬場君に会うまで、あまりこの種の議論をする機会がなかった。彼のように自分の研究の枝葉を広げようとしている学生は、当然のように考えつく疑問、いや考えつくべき疑問であり、こちらもそのような議論を行う機会を得て新鮮で嬉しい気持ちがした。また、当時は自分の考えを上手く説明できなかった記憶があるが、今ではいくつかのことを自信を持って言えるということがわかり、これも収穫だった。