断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

9時にホテルの部屋をチェックアウトした。1階のロビーで今回のアシスタントだと紹介されたのは、ペイさんというよく知っている人だった。カセサート大学の学生で、7年前にバンコクの学会で会って以来、何度か会っているが、今回は4年ぶりくらいだと思う。
2台に分乗してKaeng Krachan国立公園へ。途中、大きなスーパーマーケットで追加の採集用具を買い出しし、ペッチャブリー県に入ったところで昼食をとった。
13時過ぎに公園の管理事務所に書類を提出し、近くの小屋に置いておいてもらったFITを受けとり、テントやマットなどを借りる。テントとマット、寝袋で、1人1日380バーツ。テントの300バーツが結構高い。
それから管理事務所の近くの食堂で夕食の弁当を作ってもらう。その食堂のそばに赤い花の咲くマメ科の木があり、種数こそ少ないがそこに非常に多くのツノゼミが見られた。大きな種は角が華奢で、不用意につまむとすぐに折れてしまった。

宿泊地へ向かう道すがら、チョウの集団吸水がいくつもみられ、我々の車がその近くをとおるたびに車がチョウの花吹雪で包まれた。14時ごろに宿泊地の第二ゲートに到着した。
われわれの宿泊所は、「レストラン予定地」と思われる広々としたコンクリートの建物だった。そこに各自1張のテントを張る。大きなテントで、快適そうだ。宿泊所には、机もあるし、太陽発電の電源もある。

本当は今日FITを仕掛ける予定だったのだが、案内の方が、保存液に使う酢酸を別の車に置いてきてしまったという。仕方ないので、付近を歩きまわり、暗くなる前に1基分を仮設置した。
うす暗くなってから宿泊地へ戻り、ライトトラップを仕掛ける。といっても、水を張った洗面器に12ワットの捕虫用蛍光灯を入れたランタンを置くだけである。
18時に夕食。あまりに量が多く、全く食べきれなかった・・・。
すばらしい月夜で、光に虫がまったく集まらない。HIDのライトトラップも用意したが、ほとんど何も来ない。
それから小松君と周囲をぶらぶらする。道路の水たまりにオオイチモンジシマゲンゴロウとSandracottus属のゲンゴロウがたくさんいた。
21時半ごろにランタンを回収する。こちらは林内に仕掛けたので、結構虫が入っているが、水の近くだったため、小さいゲンゴロウやヒメドロムシなど、私にとってあまり面白くない虫ばかりだった。
22時過ぎに水を浴びて就寝。
目をつぶって、しばらくすると、机の上に置いた食器が動く音がする。そして床に落ちてガシャンと割れる音が。何かの動物だろうと思いつつ、意識が遠のいた。