断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

ヤシオオオサゾウムシの問題については、月曜に資産管理課の方を案内することになった。
標本作製に来ていた井田さんと「ふなこし」で昼食。座敷でお相撲さんと背中合わせで座っていたのだが、くっつかくつっかないか程度に近かったので、背中がとても暑かった。お相撲さんはオムライスとミックス定食の2品を大盛りで食べており、「さすがによく食べますねぇ」と井田さんと感心しながら眺めていた。
午後から昆虫学会の九州支部大会に参加した。まずは上田恭一郎さんの特別講演。博物館設立までのお話しで、血の滲むような努力があったことがよくわかった。大学博物館は事情が異なるが、非常に考えさせられた。標本の正確な数を数えること。それに具体的な資産価値をつけること。そしてそれにお金と場所を付けること。
指導している4年生は2人とも大変良く出来ていた。昨年の4年生はそれで面白かったが、今年の4年生は2人とも真面目で、見ていてこちらが頑張らなければと思うほどである。とくにボスレは貫禄があって、その辺の(一部の)修士や博士の学生よりよほど立派だった。

その後は懇親会があったが、話すと咳が出るので、遠慮させていただいた。(昨日はほとんど押し黙っていた。)

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今回のマレーシアで島田さんが採集してくれたハネカクシAenictocupidus jacobsonorum。ヒメサスライアリと共生するハネカクシでは最も欲しかったもので、ここ5、6回の調査はこの種のためだけに渡航したといっても過言ではない。これまでかすりもしなかった。正確にはライトで未成熟個体が採れたことはあるのだが、それは採ったうちに入らない。今回の調査は、この種が採れただけで充分実りあるものだった。下半身しかアリに似ていないが、肉眼で見ると本当にアリそっくりで、島田さんにこれが入っている容器を渡されたとき、「えーっと、どこにハネカクシがいるんですか」と訊いてしまった。当の島田さんも容器を見ながら、「あれ、確かに採ったはずなんですけど」と言っていたほど。膨らんだ前胸と頭部が、ひとつの頭に見えたのだろう。そう思うと確かに似ている。