断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

午後に東海大出版の稲さんがお越しになり、制作中の図鑑の打ち合わせ。写真があまりに良いので、判を大きくして、レイアウトを変えることになった。これまでに類を見ない図鑑になりそうだ。乞うご期待。>著者のみなさん、そういうわけです。
送っていただいた生きた好白蟻性のハネカクシが届く。執筆中の論文で扱う種で、早速D7で撮影した。すばしっこくて苦労したうえ、カメラが重くて腕が痛くなった。

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3月にタイのKaeng Krachanという国立公園に採集に出かけることになった。タイでは最も素晴らしい森が残されていて、最も哺乳類の多い森の一つだろう。Tenasserimという山脈を挟んで、ミャンマーまで森が途切れずにずっと続いている。問題はマラリアミャンマー側の熱帯熱マラリアが流れ込んで来ており、日本で処方されるメフロキンという予防薬が効かないのが厄介である(メフロキン耐性)。昨年訪れた際には、少し前にタイの植物の研究者がここでマラリア感染して亡くなったばかりだと聞いて、ゾッとしたものだった。(夜間は蚊に刺されないように神経を尖らせる必要がある。もし発病した場合には、メフロキン耐性頻度の高い地域であることを申告する必要がある。)
http://en.wikipedia.org/wiki/Kaeng_Krachan_National_Park
今回は現地に8日間しか滞在できないので、燃え尽きるまで採集しようと思っている。ヒメサスライアリの探索に加え、FITを50基設置しようと思っている(いつもは30基)。目標は以下のヒゲブトオサムシPaussus jousselini。一昨年、科博の野村さんが採集している。この仲間は本来アリの巣にいるものだが、アリの巣では滅多に採れず、主にFITで採れる。あとは糞虫全般。2007年にKao Yaiという有名な国立公園で副産物として糞虫を採集し、それを益本さんにお送りしたのだが、非常に多くの新種が含まれていた。Kaeng Krachanだったらもっとすごいだろう。このような文章を書いているだけで興奮してしまう。