断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

クロッカスが終わりそうだ。咲き始めに見たくらいで、あとは雪だの雨だのでろくに観賞できなかった。いまは部屋のなかのヒヤシンスが盛大に咲いている。大学では忙しくて、じっくり眺めることもないのだが、机の上に花があるというのは良いものだ。

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海野さんの「海野和男の昆虫撮影テクニック:デジタルカメラによる」が届いたので、昼にラーメンを食べながら読んだ。重要な知識と技術がほとんど網羅されていて、大変勉強になった。これでチョウの飛翔写真を撮る人も増えるだろう。作例を見つつ、「やっぱりプロはうまいなー」と単純に思った。説明のあるカメラはニコンオリンパスがほとんどで、キャノンはわずか。

海野和男の昆虫撮影テクニック:デジタルカメラによる

海野和男の昆虫撮影テクニック:デジタルカメラによる

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昆虫学教室の卒業生で、いま農大にいる三田先生からマレー半島のアリノスハナムグリを頂戴した。珍種で、私は1度しか採っていない。体長は1.5センチメートルほど。同属他種の情報から、おそらくフタフシアリ亜科のアリの巣に棲んでいる。触角の第1節がしゃもじ状になっており、そこから先がアリにもぎ取られないよう、頭部のへこみに収納し、蓋することができるようなっている。
生物防除研にいるハナムグリ先生にお聞きしたところによると、産地からしてClinterocera pilifer Moser, 1921という種にあたりそうだが、スマトラから記載されたC. anthracina Heller, 1897のシノニムかもしれない。珍種の多い属なので、これだけ大型の種でも、まだ分類学的な問題が残っている。