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断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「アリの巣の生きもの図鑑」雑感
本書の題を「The Guests of Japanese Ants」とした。知る人ぞ知る、イギリスの好蟻性昆虫をまとめたHorace Donisthorpeの「The Guests of British Ants」に敬意を表したものである。この本が出たのが1927年のことであるから、それから86年の歳月を経て、日本で同様の趣旨の本が出たことになる。しかしながら、内容の充実度はイギリスのそれとは遠く及ばない。「The Guests of British Ants」は、1927年の出版のさらに50年以上年前(19世紀後半)からの情報の蓄積によって作られているが、「アリの巣の生きもの図鑑」はわずか数人の調査によって、ここ10年ほどで得られた情報が大半を占めているからである。「アリの巣の生きもの図鑑」は今の時点での最大の情報量と写真技術によって作られているが、あくまで短い歳月で、博物学という歴史的な学問の上では、泥縄で作られたことを忘れてはならないと思っている。それでも、日本の好蟻性昆虫研究の布石として、最高のものができたと自負しているし、ここ数十年で出版された日本の昆虫書籍のなかで、もっとも独自性の高いものができたことは間違いないと思っている。もうすぐ市場にでまわる。一般読者の反応をとても楽しみにしている。