断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

フィリピンといえばカタゾウムシ、カタゾウムシといえばフィリピンというくらい、カタゾウムシはフィリピンを代表とする昆虫である。その種数は膨大で、よくわからないが、ルソン島だけで200種以上はいるようだ。今回の調査で、色とりどりのカタゾウムシを拾っているうちに、すっかりカタゾウムシが好きになってしまった。その名の通り体が堅く、昆虫針を刺すのに苦労するほとである。鳥などの天敵に嫌われるためか、ゆっくり堂々と歩いている。水玉模様や筋模様など、かわいらしい色彩のものが多いが、もちろんこれは、堅いからだを敵に認識させるための警告色である。そして、カミキリムシや他のゾウムシなどを中心に、カタゾウムシに擬態している昆虫が非常に多い。今回フィリピンに出かけて、非常に多くのフィリピンの虫の姿や模様はカタゾウムシに「振り回されている」という印象を受けた。
日本の標本商でもよく売られているが、実際に採集した日本人はあまり多くないだろう。今回、種によっては山のようにいることがわかった。ただし、決まった植物に群がっており、それを知らないとなかなか採れないようだ。一番好まれるのはオオバギであり、つまり荒地のようなところにいる。そして森の中に入ると、シダ植物を齧っているものが多かった。とくに写真の巨大なシダは各種のカタゾウムシに好まれるようで、カタゾウムシに齧られて穴だらけになっていた。また、環境によってすみ分けているようで、開けた場所、暗い場所などで、いるものが全然違っていた。いつか別の島に行って、いろいろなカタゾウムシをまた観察したいものだ。
ちなみにカタゾウムシをニワトリに与えたところ、なんの躊躇もなく、何匹も飲み込んだ。強固な体も、大きな鳥にはあまり効果がないかもしれない。
カタゾウムシMetapocyrtus sp.
カタゾウムシPachyrrhynchus moniliferus
巨大なシダ
オオバギの一種
カタゾウ擬態のカミキリAprophata eximia