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断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝からアンダラス大学の森へ。今日も学生さん2名がお手伝い。1名はシロアリを研究している青年、もう1名は美少女だった(あまりに美少女で写真を撮るのも憚れたので後ろ姿のみ)。
昨日とは違う場所で、かなり良い森に入ることができた。いつかFITを仕掛けられればなぁと夢想した。途中で美少女が岩で辷って転んだり、みんながヒルにたかられているのを観察しつつ進む。かなり歩きにくいのだが、私と小松君以外はサンダルという軽装である。
しばらく歩き、ウラジロオオバギを発見。枝が高くて届かないのだが、今日は運転手のおじさんが高枝ハサミを持ってきてくれていた。昨日われわれが枝を引き寄せるのに手こずっていたのを見ていたようだ。そして、今回の目的の一つであるメクラカメムシを無事に発見。これで2種のアリ共生オオバギ両方からカメムシを得たことになり、目的のほとんどは達成された。それにしてもおじさんが機転を利かせて高枝ハサミを持ってきてくれなかったら、カメムシは採れなかっただろう。採集道具にはこだわってこだわりすぎることはないと思っているが、今回は気を抜いていた。深く反省。


それから森を進むと、ツヤヒメサスライアリAenictus laevicepsが引っ越しをしているのを発見!
( ´ー`)。о『この道でツヤヒメサスライアリが引っ越しているのを見つけられないかな。まぁ、難しいだろうな』と考えていたところだったので、夢のようだった。この先しばらくは良いことはないだろう。
カメムシを採って責任を果たしたことだし、「私はここに残る。2−3時間は行列を観察するよ」と宣言し、他の人たちには先に行ってもらった。
早速地べたに座り込むと、期待通りハネカクシが次々にやってきた。AenictobiaMimaenictusAenictocleptisなどである。一番うれしいのはMimaenictusで、触角の基部をアリに咥えられて運ばれている。この属はこれまでマレー、スマトラ、ボルネオから記録があり、スマトラのものはマレーのものと同種とされているが、マレーとボルネオのものがそれぞれ別種だったので、スマトラのものも別種に違いないと思っていた。その標本は頼んでも借りられなかったので、ようやく念願かなって本物を見る機会を得ることができた。また、アリのほうも同じ分布で(当たり前だが)、DNAで分岐関係を調べるのにスマトラのものはどうしても欲しいと思っていた。
マレー、スマトラ、ボルネオは、多くの昆虫の分類群で似通った種構成をもつ。この関係が結構面白く、基本的には(マレー+スマトラ)+ボルネオだと思うが、マレー+(スマトラ+ボルネオ)だったり、稀に(マレー+ボルネオ)+スマトラという関係もある。ヒメサスライアリは巣分かれで増え、その性質上、流木に乗って移動しにくいはずなので、地史の影響を強く受けるに違いない。だからこの3地域の生物地理関係を見るにはたいへん面白い研究材料だと思っている。
なお、ウォレス線(最近代案が出ているが)はジャワとロンボクの間を抜け、ボルネオとスラウェシの間に伸びている。しかし、ヒメサスライアリの分布からすると、ジャワ+バリは異質で、上記3地域に共通するものが少ない。スマトラとジャワの間は非常に近いが、実はかなり重みのある海峡である。いつかジャワの低地の原生林で調査できたらと夢見ている。きっとすごいものが山のように採れるだろう。
話しは長くなったが、ちょうどヒメサスライアリの女王が来て、引っ越しが終わりに近づいたとき、残りの人たちが引き返してきた。そしてお昼にしようかというときに、シトシトと降り始め、やがて土砂降りとなった。小降りになったところで、急いで車に戻り、今日は引き上げることにした。

夕飯はホテルの近くの海岸の食堂で魚料理を食べることにする。入口に魚が並べられていて、日本だったら高級そうなヒメダイ属の魚とナンヨウカイワリのような魚を選んだ。いずれも100グラム100円だった。

食堂からは美しい海が一望できて、感激した。

3人で700グラムのを3匹も頼んだうえ、ワラさんが半分も食べきれなかったので、その分を小松君と分けて食べ、魚だけでおなかいっぱいになってしまった。ヒメダイの仲間が断然美味だった。