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断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日はチボダス植物園へ。6時半に出発し、8時に到着。運転手が間違えて23日のツノゼミの場所に行ってしまったので、ツノゼミを採る。知久さんに教えてもらった木に登ってサオナシツノゼミを探していたら、私の重さで木が倒れてしまった。展示植栽なので、近くで見ていた管理の方にごめんなさいと謝った。でも、おかげで木のてっぺん周辺にいたツノゼミがたくさん採れた。木から飛び降りたので、あちこちぶつけて痛かった。

8時45分からFIT回収作業開始。林床が開けていた前回(9年前)はキボシセンチコガネの仲間がイヤというほど入ったのだが、今回は個体数が少なく、30基で4頭のみだった。同じ季節だったので、これだけで環境の変化がわかる。今日は朝方の天気がよく、遠くまで山々を見渡すことができたのだが、あちこちでタケが森を侵食していた。タイの国立公園でも、つる性木本とともにタケの侵食が問題になっているが、熱帯アジアに共通する問題のようだ。恐ろしい。

今日は実に悲しいことがあった。ジャワ島からはElaphiceps javensis Funkhouser, 1937という種が記載されている。シカツノゼミElaphiceps インドシナを主な分布域とし、マレー半島、ボルネオ、その他の大スンダには分布しておらず、それらの地域をすっ飛ばしてジャワ島にこの種が隔離分布している。Funkhouserの記載を読んでから、いつか採集してみたいと憧れていて、チボダスだったら標高的にもありえるのではないかと期待していた。FIT回収の前、ベトナムでの採集経験から、良さそうな木を見つけた。そして、こんなところかなと思いつつ、簡単に見てみたところ、なんと本当に発見してしまったのである。80年ぶりの再発見となる。見つけた瞬間、驚愕のあまり一人で奇妙な声をだしてしまった。しかし、網を持っておらず、迂闊に手で採ろうとしたところ、なんと一瞬で飛び去ってしまった。そのときは何が起きたのか理解できず、それからしばし放心状態になってしまった。
FIT回収後、ひたすらに同種の木を見て回る。最初簡単に見つけたので、そんなに珍しいものではないと思ったのが大間違い。結局、昼過ぎまでに20本以上の寄主植物を丹念に見たにもかかわらず、まったく見つけることができなかった。
14時ごろから雨が降り出し、苔むしたコンクリートの上で辷って激しく転倒。尻餅をついて、岩に頭をぶつけた。サスペンスドラマなら簡単に死ぬところだったが、ドラマではないので生きていた。踏んだり蹴ったりだったが、スマトラハネカクシが採れたせいか、朝、木を倒したのがいけなかったかもしれないなどと考えた。
帰りの車の中では、「あのときに車に戻って網をもってくればよかった」とひたすら後悔し、シカツノゼミの顔を思い出すたびに「畜生」と地団駄踏んで悔しがった。夕飯中にも発作のように「畜生」、「くっそー」と繰り返していたら、小松君に「もう30回くらい聞きました」とたしなめられた。久しぶりの採集での大失敗。逃がしたものが大きいだけに、当分立ち直れそうもない。
ちなみに夕飯は高級料理店に行き、豪勢にグラメ(オスフロネームスグラミー)の揚げもの、牛肉炒め等を頼み、やけ食いした。