断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

マジャク釣り大会

以前から行きたいと思っていた熊本県荒尾市の「マジャク釣り大会」に参加した。「マジャク」とはアナジャコのこと。江戸川放水路河口で何度かやったことがあるが、「本場」の有明海でやってみたい。この大会について知ったのは、七年前の玉置さんのデイリーポータルで、以来、ずっと気になっていた。

http://portal.nifty.com/2007/09/03/b/

荒尾市の広報:

http://www.city.arao.lg.jp/cal_copy/pub/detail.aspx?c_id=7&id=2786

ちょうど梅雨明けの好天。漁協で7時半に受付した。1000人の募集があっという間に埋まってしまったようだ。

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目の前に広大な有明海の干潟が広がる。荒尾干潟は、日本で2番目に野鳥に飛来が多い干潟だそうだ。

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それから大会役員の挨拶があって、8時に干潟へ移動。干潟の真ん中に砂利道が通っていて、ズボズボと足がとられないようになっている。1000人もの人々が沖に向かって歩くのは壮観。

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アナジャコの巣口は干潟の表面から10センチくらい下にあり、まずは泥の表面を削って、その巣口を露出させる必要がある。その作業を「釜立て」というそうで、今回は貸し出し鍬を借りてやってみたのだが、どうにも難しい。

すると、その様子を見かねて、漁師のおじさんが釜立ての実演をしてくれた。ひょいひょいと簡単にやっているが、泥の表面は重い貝の殻が中心で、とても力がいるし、「釜」のなかに水が入らないように土手を広げるように掘っていく必要がある。これがとても難しい。

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さすが有明海。ものすごい密度の穴。おじさんによると、この釜だけで、上手にやれば50匹くらいは採れるという。

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釣り方は面白いものである。まず、穴に書道用の筆を挿す。すると、異物か同種他個体だと勘違いして排除しようと、アナジャコが筆を押し出しに上がってくる。そこを、上手にアナジャコの両方のハサミをつかんで、引っ張り出すのである。しかし、これがなかなか難しい。うまくやらないと片方のハサミをつかんだ時点で、自切してすぐに逃げてしまう。いかに両方のハサミをつかむかにかかっている。

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またまたその様子を見かねたおじさんが、細かくコツを教えてくれた。それから飛躍的に捕れるようになった。と言いたいところだが、実に奥が深く、ちょっと上手になった程度だった。この難しさこそが「マジャク釣り」の面白さだと思う。

おじさんに「お、うまくなったね」と言われたけど、まだまだ。そして、「これで釜立てができるようになったら、こっちは商売あがったりだよ」とのことだった。それくらい、年季を必要とするものなのだ。

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こちらの10倍以上の効率で釣り上げるおじさんにもたくさんいただき、食べるには十分のアナジャコを確保し、干潟をあとにした。

荒尾市の職員総出のお祭りといった雰囲気で、どなたもとても親切で、その点でも楽しい一日だった。また行きたいけど、釜立てができる自信がない・・・。

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1000人もの人たちが干潟のあちこちで楽しそうにアナジャコを釣っていた。それでも、いくらでも掘るところがあるくらい、荒尾干潟は広大だった。

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天ぷらや煮付けなど、どれもおいしかった。一番よかったのは、素揚げして、オイスターソースで炒めたもの。アナジャコは殻がやわらかく、ソフトシェルクラブのような感じなので、ソフトシェルクラブの料理にすべて応用できるものと思われる。もっともてはやされても良い食材だと思う。

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参考