断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

多忙をきわめている。鬱憤晴らしには買い物ということで、六本脚で昆虫動物関係の本を多量に注文した。昨年、大塚勲さんの遺品で昆虫関係の一般書を多数頂き、博物館の蔵書は一挙に充実した(全く無かったので、充実したというよりも、蔵書ができたと言った…

マレーシアの写真は続きます→ ヨコバイの仲間の幼虫に集まるシリアゲアリの一種Crematogaster sp.。ヨコバイは植物から汁を吸い、糖分に富むその排泄物をアリがもらう。アリはそれをもらうためにヨコバイを外敵から守る。栄養共生といって、ヨコバイ、アブラ…

今日は昼過ぎから湯川淳一先生の日本農学賞のお祝いで、中洲川端のオークラに九大の昆虫関係者が集まった。大変権威ある賞で、受賞理由は「害虫および天敵タマバエ類の分類と生態に関する一連の研究」である。昆虫学教室では安松京三先生、森本桂先生に次ぐ…

かわいいゴキちゃん3点盛り。エクアドルの写真ときにも述べたが、私はゴキブリに抵抗はなく、見つけたら喜んで写真に撮る。上はベニボタルと同じような色調のもので、おそらく擬態種だろう。葉の上を俊敏に飛び回る。中は林床の葉の上にいる種で、青く輝く…

朝から会議で飛び回り、展示関係の原稿を書いて1日が終わった。 展示ではアリヅカコオロギのぬいぐるみを作ることにした。かわいらしい虫なので、ぬいぐるみには格好の材料である。こんなかわいらしい虫がアリの巣にいるんだよと子供たちに教えるとともに、…

今日は虫ではない写真を。いつも行くUlu Gombakの宿舎で、いまや第二の故郷のような場所である。長期滞在用の小さな建物(上)と、短期に泊まるときに使うことの多いドミトリー式の大きな建物(下)がある。徒歩15秒ほどで森の中に入れる。 宿舎には職員の…

朝から会議。そして書類つくりで一日が終わった。 一昨日の晩に帰ったら、1本のゴーヤーの苗が根元からポッキリ折れていた。ネキリムシ(根切り虫:タマナヤガやカブラヤガの幼虫)の仕業である。地面を這い回って植物の根元を齧る悪いイモムシである。そし…

ネコグモ科の一種。日本には種数の少ない科だが、東南アジアには結構いる。写真の種はトゲアリの一種に擬態しており、金色の毛におおわれた様子が大変よく似ている。残念ながら擬態の手本のトゲアリは写真に撮れなかったが、とにかく似ているのである。信じ…

昼前から森本先生の運転で、Grebennikovさん、瀬島君も一緒に立花山へ行く。九大からほど近い山で、なかなか良い環境だった。Grebennikovさんはいろいろな虫をみては「exoticだ」と感激していた。最後にGrebennikovさんがクロマダラタマムシを見つけ、それは…

Dicuspiditermesという属のシロアリの女王とその好白蟻性ハネカクシ。女王は2.5センチほど。シロアリは棒状の塚を作る土分解者である。他の土壌生物が分解して土にした植物遺体をさらに分解する。ハネカクシはFeldiniという日本にはいない族のもので、この群…

昨日よりGrebennikovさんが来ている。今日はゼミで発表してもらった。 夕方より「いっちゃん」でモツ鍋をつつく。昨日もGrebennikovさんは言っていたが、分類の研究者はいかに長生きして、退職後に研究を続けるかが大事であるという。たしかにコツコツと分類…

こちらに挨拶をするヤジリコメツキの一種Pachyderes sp.。前胸背板の後角が後方に強く突き出ていて、全体が矢尻のような形をしていることからこの和名がある。葉っぱの上に止まっていることが多く、地面を向いて歩いている私が目にすることは少ないが、掬い…

忙しく、あまり余裕がない。今日からカナダ在住のロシア人Grebennikovさんが来る。甲虫の系統や形態学では世界屈指の研究者である。

用事があって昆虫学会九州支部会誌「Pulex」を見たら、これが想像以上に面白く、当時の九大昆虫関係研究室に関する情報がきわめて豊富であることを知った。会員の動向には、誰誰が何所へ行ったと事細かに書いてあるし、もちろん何時何所へ就職したかも書いて…

猛烈に忙しい。来週も忙しくなりそうだ。今年は昆虫展の準備で夏まではこんな毎日が続くのだらう。 今日は朝から、展示業者の方と同伴して、遺伝子資源開発研究センターの伴野先生のところへ展示の打ち合わせに行く。カイコの系統保存と遺伝解析を主な業務と…

カタアリの一種Dolichoderus cuspidatus F. Smith, 1857。胸部の前後に長い棘があり、トゲアリのような格好良いアリである。カイガラムシを牧畜するアリで、適当な植物体上にカイガラムシを置き、そのカイガラムシが出す甘露(植物の汁を吸った後に出す排泄…

土日はすっかり休んでしまった。水槽に入れたタナゴはすっかり婚姻色が抜けてしまった。もう少し経てばマシになるかもしれないが、いずれにしても縄張りをつくる貝が近くにないと美しい色彩は保たれないそうだ。次は貝を探してこなければ。タナゴももう少し…

ガガンボに良く似ているが、サシガメの仲間である。ゴミアシナガサシガメの一種Myiophanes sp.。大型で、体長は25ミリほど。脚を広げるとその3倍近くあり、日本の普通種のアシナガサシガメを見慣れていると巨大に見えた。日本の同属種は絶滅寸前と言われてお…

ヨロイバエ科の一種。小盾板が大きく腹部を覆い、止まっているときはそこに後翅を隠している。同様の構造はキンカメムシ科にも見られる。体長は3ミリほどで、野外では一瞬ハムシのように見える。そして近づくと一瞬で飛び去る。この仲間は日本でも数例の記録…

猛烈に忙しい。自分の研究どころではない。 今日はそんななか、出張でタナゴ釣り(および掬い)に行って来た。あくまで仕事。こんなことが仕事なのだろうかという問題はさておき、展示水槽で雌1頭ずつしかいなかったニッポンバラタナゴとカゼトゲタナゴの美…

ナナフシの一種、頭部が青く美しい種。暗い林内で自然光で手持ちで撮るため、ISOを上げたら、ザラザラの写真になってしまった。カメラの本体も換え時だと思ったのが2年前だが、未だに現役。(Apr 9 2007, Ulu Gombak, Malaysia) 間が空いてしまいました。→

実験指導。4年生の学生さんが顔に怪我をしていたので、どうしたのかと訊いたら、妹と喧嘩したそうだ。 理学部の有本君にマレーシアの標本を渡して標本作製のアルバイトを頼んだ。1頭20円。1頭10円だった時代もあったようだが、よく考えたら1000頭で1万円は安…

前ブログで掲載したことがあるデオキノコムシの一種Diatelium wallacei。大型で1センチ以上ある。これほど見事なロクロ首の甲虫もいないだろう。雄のみが長い首を持ち、雄間の闘争に使われているのかもしれない。写真の個体は北大の鶴君が採集したもので、毒…

放送を記念してグンタイアリ2種の女王の写真。放送では最も優占種であるEciton burchelliiだけを扱っていたが、同じ場所で合計4種のグンタイアリ属Ecitonのアリを見かけた。上はE. quadriglumeという種の女王で、E. burchelliiのそれに大変よく似ている。下…

今日は「ダーウィンが来た」の放送があった。皆さん、どうでしたでしょうか。 そして夕方、訃報を聞いた。グンタイアリの行動生態に関する近代的な研究をされたCarl W. Rettenmeyer博士が亡くなられたそうだ(4月9日)。「ダーウィンが来た」が放映されたらD…

マンマルコガネの一種Madrasostes variolosum。最も普通な種で、いままでどれくらい採ったかわからない。しかしたくさん採ると珍品が混じっており、それは野外で区別がつかないことから、それらしいものは全部採るしかない。マンマルコガネには悪いことをし…

先日のエクアドルは「ダーウィンが来た」の取材に同行したのですが、その時に撮影した「グンタイアリ さすらいの最強軍団」が明日放送されます。編成上、「?」というところもあるかもしれませんが、目をつぶってください。

クビレハリアリの一種Cerapachys sp.が倒木を歩いているところ。日本にも同属種が分布するが、いずれも個体数は少ない。グンタイアリ類(サスライアリ亜科、ヒメサスライアリ亜科、グンタイアリ亜科)と姉妹群にあたるという説もあり、アリ科のなかではかな…

午前中に魚&水生昆虫の中島さんが来る。福岡県産マルコ(マルコガタノゲンゴロウ)の標本を探している由、農大の小島さん(前任者の方)に電話してその所在を確認した。某魚の釣りに連れて行っていただくことになった。猛烈に楽しみだ。それから特別展示の…

タカサゴシロアリの一種Nasutitermes proatripennisの巣で見つかったTermitonannini族のハネカクシ。おそらく新属新種。同じ巣から好白蟻性のキノコバエも得られている。本種のようにシロアリと接触の多い好白蟻性ハネカクシは、たいてい毛が少なく、シロア…