断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

「谷川健一:日本の地名」を読み終えた。仕事上、日本各地へ採集旅行に出かけることが多いので、その分、いろいろな地名と出会う機会も多い。変な地名や別の場所で同じ地名を見たりすると、その由来や意味が気になる。目から鱗の話しばかりで、大変勉強にな…

「T.C. Schneirla: Army Ants, a Study in Social Organization」が届いた。アメリカの古本で、よくある図書館落ち。価格はなんと1ドル!送料が9ドルだったので、1000円ちょっとで買えてしまった。パラパラとめくるが、面白い写真がたくさんでていて楽しい。…

「木野田君公:札幌の昆虫」が著者から届く。数年前に甲虫の同定をチェックしたものだ。これが本当に素晴らしい内容で、ある地域の昆虫全てを網羅したガイドブックとしては、ここ数年では最高のものではないだろうか。 札幌の昆虫 作者: 木野田君公 出版社/…

文春で坪内祐三が推していた「山口瞳:諸君、これが礼儀作法だ!」を読んでいる。まだ飛ばし読みしかしていないが、面白いしタメになる。自分ももう少し大人ぶって生きなければと思った。 諸君、これが礼儀作法だ! (新潮文庫) 作者: 山口瞳 出版社/メーカー:…

先日のブログで紹介した「蜂須賀正氏:南の探検」が平凡社から復刻されたという。「あーあ、原本を買っちゃったよ~」と思っていたら、亀沢さんによると相当の珍本で、平凡社にも原本はなく、あの荒俣さんも持っていないらしい。そうなると得した気分。 南の…

「今泉吉典:分類から進化論へ」を再読。自宅の部屋の引越しも終わり、いろいろな本が発掘された。教科書らしいもので勉強をしたとがなかったという著者独自の考えが、哺乳類の分類と生物地理を題材に語られている。生物地理に関しては、東アジアの地史に関…

昨夜は寝つきが悪く、「桃井節也:あるナチュラリストの覚書」を通読した。内容は覚書の題にふさわしい示唆に富むものだった。また、印象的だったのは最後のほうにある正木進三先生の「桃井節也君への鎮魂歌」だった。北大時代からの思い出を綴ったもので、…

岸本さんのオススメで「The Smaller Majority」という写真集を購入。中南米を中心とした地域の両生爬虫類、クモ、昆虫などの写真が出ていて、しかも珍しいものが厳選されている。予想以上に面白かった。また、工夫されたアングルの美しい写真が多く、芸術的…

「カイアシ類学入門―水中の小さな巨人たちの世界: 長沢 和也 著」 ある方から頂いた。前から気にはなっていたが、値段を見てなかなか手を出さなかった。 感想は非常に面白かった。カイアシ類という原始的な甲殻類が、地球上でこれほどまでに多様化し、生態的…

「日本の渚―失われゆく海辺の自然:加藤 真(著)」(岩波新書) 1年位前に読んだ本だが、いつ読み返してもいい本なので、昆虫学会の行き帰りの新幹線で読んだ。新書は割りと読むが、高校生のときに読んだ「デカルト:野田又夫 (著)(岩波新書)」以来、心から…

「動物地理の自然史―分布と多様性の進化学:増田隆一 (編集), 阿部 永 (編集)」(北海道大学図書刊行会) ここ数週間、行き帰りの電車の中で読んでいた。現在の日本の脊椎動物の動物地理の集大成といった内容で、非常に充実しており、学ぶところが多かった。…

「苔の話―小さな植物の知られざる生態:秋山弘之著(中公新書)」をここ二日で読了。コケに関する雑学の集大成という感じで、基礎的な生活史の話しから、分類や生態の話しがほどよく詳しくまとめられており、最後まで楽しく読めたし、勉強になった。ただし、…

といっても、有名な「生物の多様性」や「社会生物学」ではない。ケアリ属の分類学的再検討である。 Wilson, E. O. (1955). A monographic revision of the ant genus Lasius. . Bull. Mus. Comp. Zool. Harv., 113, 1-201. 実はなんと、かのE. O. Wilsonの博…

「明治日本見聞録 英国人家庭教師婦人の回想:エセル=ハワード(著)、島津久大(訳)」 これは先日の「英国人写真家…」と同じ講談社学術文庫の「幕末・明治の激動の時代」シリーズの一つである。これも大変に面白かった。明治34年から7年間、元鹿児島島津…

「英国人写真家の見た明治日本―この世の楽園・日本: ハーバート=G.=ポンティング (著), 長岡 祥三(訳)」 ここ数日の行き帰りの車中、久しぶりに気持ちの良い本を読んだ。明治の日露戦争前後に日本を旅した英国人写真家ポンティングの旅行記である。日本…

「鎌田 慧: ドキュメント屠場」 ここ数年、機会があると被差別部落関係の本を読んでいる。屠場とそれを取り巻く問題は、食生活という点でわたしたちと遠からぬ関係がありながらも、一般には知ることのない世界である。屠場とは食肉解体工場のことであり、古…