断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

15時の便でジャカルタへ戻る予定である。ところが、朝にちょっとした騒ぎがあった。チケットの予約の再確認を忘れたそうで、しかも日曜であるため、電話で押さえることができないそうだ。今日は全員で午前中一杯を植物園で採集する予定だったが、今日も二手に別れ、一手は急いで植物園を出て、チケットを押さえることになった。私は植物園に残り、トラップの回収を行うことになった。

朝食後、早々にトラップを回収に行くが、めぼしいものはほとんど落ちておらず、数頭のエンマコガネを得たのみであった。手ぶらで帰るという危惧が現実のものとなってしまった。昨晩灯火に来て動けずにいるハグルマヤママユ属の一種Loepa sp.などを撮影し、植物園ともお別れである。

空港へ向かう途中に電話があり、どうやら無事にチケットは押さえられた模様。空港に着いたら12時だったが、搭乗までまだ3時間もあるので、まずはゆっくりと昼食をとることにする。「Soto ayam」という鶏肉のカレースープの定食に、サイの柄の缶ジュース(イチゴ味)を飲んだ。

チェックイン後は土産物屋をみてまわるが、興味をそそるものはなかった。さすがバリ島だけあって、周囲は日本人を含めた観光客だらけである。きっと、白い砂浜のビーチでバカンスを過ごしたのだろう。自分には縁遠い世界だ。

帰りの機内ではペンネ=アラビアータのようなものが出た。空港に着くと、カホノさんの奥さんと子供と、ハルティニさんの助手の若者が来ていた。休日のためか、帰りの道はガラガラで、1時間10分でボゴールの植物園に着いた。

夕飯はいつもの料理店で、今日は前から気になっていた「Bistik ikan」というものを注文した。魚のステーキという意味だそうだが、オスフロネームスグラミーかなにかの切り身を揚げたものに、濃厚で甘いソースがかかっているものだった。かなり脂っこかったが、味はよかった。

食後に果物(白くて丸くてグレープフルーツに似た味のものとランブータン)とビールを買って帰った。ビールを飲んでいると、鹿児島大の植物の先生とその学生さん、それに森林総研の方がいらっしゃった。学生さんはグヌン=ハリムン、残りのお二人はカリマンタンへ渡るそうである。

夕食前に宿舎の前の林に糖蜜トラップを仕掛けたので、懐中電灯を持って見回ったが、シリアゲアリCrematogaster、シワアリTetramorium、アメイロオオアリTanaemyrmex、オオズアリ、アメイロアリなどが来ているだけだった。シリアゲアリはおそらくC. dissimilisというもので、聞くところによると例外なくオオアリと一緒に営巣しているそうなので、そのオオアリが見てみたかった。

寝る前にパソコンに入っていたジュリエット=グレコの「La Javanaise」を聞く。帰りの車のなかで澤田さんに、ジャワ人のことを英語でなんていうか知ってますかと聞いたら、「うーん、ジャワニーズかな」と言っていた。正解は「Javanese」であるが、「-ese」の前にどうしてnが付くのだろうか。帰ったら調べよう、と思ったら、この曲が聞きたくなった。

写真はハグルマヤママユ属の一種。