断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は実験室の掃除+ミーティング。その後、科博院生のゼミへ参加。今日は星野さんと芳賀君の発表だった。星野さんの緻密さはともかく、芳賀君はM2にしてかなりのレベルで驚いた。

ヒメサスライアリのPCRをしたが、こんどは新鮮な材料だけに、かなりきれいに増えていた。結果が楽しみだ。

引き続きヒメサスライアリの行列を一緒に行進するハネカクシの解剖をした。今日は個人的に超に超が付く驚きがあった。アリそっくりの新属新種が他に似ているものの一つもいない族のものであることがわかった。例えるならば、ウマの形をしたネコが見つかったようなものか(ちょっと無理があるか)。写真の左が族の代表種で、この族のものは大抵これと似たようなもの。そして、右がその種である。

Kistnerはヒメサスライアリと共生するアリ型のハネカクシを全てAenictoteratini族に含めているが、族の単系統性の根拠は弱く、触角の付け根にアリが持ちはこび易いような頑強な作りがあることを固有派生形質としていた(ハネカクシはアリにそこをくわえられて運ばれる)。しかし、ヒメサスライアリの行動に適応した形質であり、同じ寄主をもっていれば、いかにもhomoplasticなもので、族の定義に使えないとは思っていた。そして今回、全く遠縁の種で同じ形質が見つかったことで、そのhomoplasyを指摘できる結果となった。

書いていて思い出したのだが、homoplastic・homoplasyには良い訳語がなく、論文の和訳にいつも困ってしまう。三中本(「生物系統学」)ではたしか「非相同」と書いていたと思うが、その形質が発現している部位が相同(オサムシの大顎―クワガタの角という段階)である場合にこそ使うことが多いので、誤解を招き易く、あまり的確な訳語ではないように思う。強いて訳すならば、「空似」だろうか・・・。どなたかご助言を。

明日から貝類学会だそうで、芳賀君は必死で準備していた。帰り際、芳賀君にオオグソクムシの標本をもらった。先日のシビレエイに続く嬉しいプレゼントだった。

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