断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日はゆっくりと寝て、午後から採集に出かけた。亀沢さんのご案内で、西東京市小金井公園のクサアリの巣をめぐることになった。目的はクサアリハネカクシの生きた個体を採ることで、現在友人にお願いしているイラストの材料となる。

13時過ぎに田無駅へ迎えに来ていただき、その足で亀沢さん宅そばの雑木林へ行く。30メートル四方くらいの住宅地のなかの小さな林でで、クヌギの根元にクロクサアリの巣があった。実績のある巣で、4種のクサアリハネカクシが得られている。しかし、周囲の巣を篩うも、ごくわずかの個体が見られたのみであった。状況が変わったようだ。オマケにヒゲカタアリヅカムシとツヤチイロアリヅカムシの2種が採れた。意外な副産物として喜んだのは、オオハリアリの巣にいるOphryomedon crenatus(仮称:オオハリアリハネカクシ)という種で、なかなか珍しいものである(写真)。

次に小金井公園に足を伸ばす。途中、植木屋の敷地にあるベニヤをどかしたところ、アメイロケアリの巣が見つかった。小金井公園は最後の花見客で一杯だった。亀沢さんの見つけたクロクサアリの巣はスダジイの根元にあり、かなり大きなものだった。早速巣の根元の落ち葉を振るうが、ネアカクサアリハネカクシ1種がたくさんいるばかりで、他のものが見当たらない。小さな空き地で4種も採れているのに、より自然度の高そうな小金井公園でこういう成果とは。

以前にアリ研究者の久保田(敏)さんに中野区の公園に大きな巣があると聞いたので、こんどはそこへ向かうことにした。着いてから公園の大きさに驚いた。詳しい場所を聞いていないので、見つかるかどうか…。しかし、いそうな雰囲気のところを歩くと、すぐに巣は見つかった。これまた大きな巣で、なぜかアリ自体も大きい。小金井公園の同種のアリの3割り増しくらいの明らかな大型個体ばかりである。以前からクロクサアリに複数種入っているのではないかと疑っているのだが、やはり調べる必要がありそうだ。さて、巣を篩ってみるも、こんどはクサアリハネカクシが一頭も見つからない。久保田さんの調査された昔にはいたそうだが、20年近くを経ていなくなってしまったようだ。代わりに、田無で採れたものと同じアリヅカムシ2種とアリヤドリThiasophila inquilinaという比較的珍しいハネカクシが採れた。

帰りは駅前の喫茶店でコーヒーを飲み、おとなしく帰った。久しぶりに結構な距離を歩いたので、少し疲れた。亀沢さん、ありがとうございました。