断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

世界各地の研究者と標本のやりとりをしていると、時折使い古されたダンボールで送られてくることがある。世界中を旅したのだろう。そういうのはなんだか味があって、何かを悟ったような風格さえある。しかし多くの場合、そのダンボールの辿った軌跡は不明である。そして、世界中を飛び回って消耗したときにはゴミとなり、いつの間にか世の中から消滅する。

ところが今日、ダンボールの表面に残されたラベルの跡から、辿った軌跡のよくわかる例を見つけた。少し面白いので以下に紹介する。

まず、ドイツのSchuelke氏が日本の野村さんに送った。ダンボールの印刷も何かがドイツ語が書いてあるので、きっとドイツ製のものなのだろう。次に野村さんがチェコのBesbak氏に送った。これはEMSの荷札が残っていることでわかった。その次にBesbak氏がベルギーのDrumont氏送ったようだ。そしてDrumont氏が私に送った。ドイツ-日本-チェコ-ベルギーと、長旅を通じて2度目の日本にやってきたのだった。そして今日、私はそれをカナダのKlimaszewski氏へ送った。次はどこへ行くのだろうか。

そんなこともあって、今日は3件の標本を返した。Pella論文の後遺症で、標本返却の作業がまだ残っている。

現在企画中の本の原稿が続々集まってきた。また現在、「蟻」の次号をレイアウトしているが、まだ昨年の大会の講演要旨が集まっていない。前回の「蟻」は、印刷物になってしまったら、ちょっとおかしなものになってしまったので、今回はもうちょっとかっこよくしたい。

今日は久々に絵を描いた。絵描きというのは思う以上に体力と集中力を必要とすることを改めて感じた。