断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

朝6時起床。頭が重く、完全な二日酔い。入浴剃髭ののち洗濯。道具類と本を持って家を出る。今日は山梨へ採集だ。

9時に調布駅で合流。新津さんの車に、亀沢さん、坂本君と同乗する。心なしか坂本君の髪が少し伸びたような気がする。調布インターから中央道に乗り、いざ山梨の勝沼へ。

ところが、心配していたとおり、乗ってすぐに渋滞。「40km 120分」と書いてある。それでも、虫の話しで盛り上がっているうちに渋滞を抜け、なんとか昼前に勝沼に到着した。コンビにで弁当を買い、そのまま車の中でかきこみ、最初の目的地のへ急ぐ。急ぐ理由はないが、なぜか急ぐ。

まずは甲州市の嵯峨塩という場所へ。林道の入り口に車を止め、そこから歩いて各自採集開始。新津さんの目的のミノガの採れる場所ということで、ここへ来た。私の目的はもちろんクサアリを中心としたケアリ。

まだ芽吹いたばかりの早春の林だった。ビロードツリアブやツマキチョウ、ミヤマセセリが元気に飛び交っていた。冬を乗り越えたルリタテハもいる。やっぱり山はいい。何度も思い切り空気を吸った。

林道をテクテク歩き、なんとなく良さそうな脇道に入ると、早速クサアリを見つけた。行列を辿りながら、一匹をつまんで匂いを嗅ぎ、姿を見て、クロクサアリと判断。これは好蟻性昆虫も期待できる。しかし、行列は延々と続き、20メートルくらい崖を這い上がり、ようやく巣の口を見つけた。かなり大きな巣だが、崖の途中にあり、残念ながら周囲に好蟻性昆虫の足がかりとなる落ち葉が一つもない。崖をあがる途中に亀沢さんの姿が林道に見えたので、呼び寄せてしまったが、なんだか申し訳ない気がした。しかしそれでも、行列周辺の落ち葉を篩うと、比較的珍しい種を含め、5種の好蟻性ハネカクシが採れた。

次はその林道のそばの別の林道へ。しかし標高が上がりすぎたせいか、まだアリが動いていない。1時間ほど歩くが、めぼしいものは採れなかった。越冬中のケアリのコロニーがあり、非常に小さな個体だったので、ヒメトビイロケアリであることを祈って採集した。

次に坂本君が知っているという巣へ。そこからまだ高標高の場所にあるが、巣の場所がわかっているので、とりあえず行く。道のすぐ脇の木の根元にその巣はあった。たまたま木の根元に大きな石があり、それをどかすと巣の中身が露出した。そして石の裏にはアリヅカコオロギやツヤチイロアリヅカムシ、シナノセスジエンマムシがついていた。小型で、爽やかな香りで、触角が平圧され(陽に当てると反射がある)、少しツヤが弱いことから、テラニシケアリとわかった。テラニシケアリの蟻客は貴重。新津さんはお疲れのようで、車で休んでいた。

大菩薩峠に通じる林道へ向かい、峠の長兵衛小屋で一休みし、次は坂本君の知っている別の巣のある場所へ向かった。

塩山町の裂石という場所で、先ほどの場所よりは標高は低い。巣の場所へ案内していただくと、なんとそのアリは中野区で採集した大型のクロクサアリと同じ種だった。喜んで採集する。亀沢さんはオオズハイイロハネカクシや数種のクサアリハネカクシを採集していた。

気付いたら17時。いい時間になっていた。山梨へは戻らず、そのまま奥多摩へ抜け、東京に戻ることにした。ずっと昔に採集にでかけた懐かしい景色が広がる。みんな少年時代に奥多摩周辺に採集に来た経験があるようで、その話しで盛り上がった。後山林道、日原、酉谷・・・。いまはどうなんだろうか。

奥多摩駅を抜けると再び渋滞。裏道へ抜けるが、そこも渋滞。そうこうしているうちに20時を過ぎ、終電に間に合わないかもしれないとのことで、八王子で解散することにした。途中、ラーメンを急いで食べ、21時40分の中央線に乗ることが出来た。新津さんには八王子まで送っていただき、坂本君は八王子駅で別れ、亀沢さんとも国分寺でさよならした。

林床をひたすら歩き回って疲れたが、久しぶりの山は気持ちがよかった。楽しい虫の話しもよかった。クサアリも3種採れたし、採集としても成果があった。

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