断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

今日は小林さん、藤原さん、細石君、大島君の帰国日で、朝からバタバタしていた。午前中に各々採集にでかけ、ラーメンで昼食。14時に4人を乗せたワゴンが出発した。とても淋しい気持ちがし、普段は感情を出さない小松君も「ああ、いっちゃった」と言っていた。私を除いて初対面の多い集まりだったが、予想以上にみんなで仲良く過ごすことができ、本当に楽しい毎日だった。こんなに毎日笑ったのは久しぶりだった。

午後から片山君とFITを設置する。その次にモトサスライアリDorylus laevigatusを狙ったオイルトラップを2地点9個ずつ仕掛ける。

オイルトラップを仕掛けている最中に落ち葉をのけたら、スジヒメサスライアリAenictus dentatusを見つけ、追いかけると野営地の位置もわかった。夕方に見に行くと、移住行軍が始まっている。大きなシミが現れ、次に小さなハネカクシがやってきた。疲れも限界に近く、行列を見ながらウトウトしてしまった。そうこうしているうちに、いきなり雷が鳴って大雨が降ってきたので、いったん宿舎へ帰り、急いでラーメンをかきこむ。

雨がやんだので、再び行軍を見に行くが、アリのほうは移動しようかどうか迷っている様子で、幼虫を持ったアリが右往左往している。また、暗くなってからライトを行軍に当てると、行列が散ってしまう。スジヒメサスライアリは光が嫌いなようだ。仕方ないので、野営地を掘り起こして持ち帰ることにするが、かなり深い土中にあるようで、結局届かずじまいだった。それでも、アリを含む土を篩うと、Dentazyrasというスジヒメサスライアリに固有の属のハネカクシが採集できた。また、最初に採った小さなハネカクシを顕微鏡で見たら、明らかに新属新種のハネカクシだった。シミ型のハネカクシで、意外な分類群のもので、とても驚いた。ここに来ると、毎回一つは新属新種の好蟻性ハネカクシが採集できる。

スジヒメサスライアリのハネカクシを十分に採集する機会を逃してしまったことを後悔しつつ、疲れのあまり22時に就寝。

写真:最後の集合写真。