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午前中に雑用を済ませ、昼に新大久保の隠れた名店「近江屋」という蕎麦屋へ行く。100年以上の老舗であるが、一緒に行った事務のお姉さんは知らなかったようだ。季節ごとの旬の食材を出していて、いまはアナゴの季節である。今日は穴子天ぷらせいろを食べた。
6月30日締め切りの昆虫学会の講演要旨を書く。先日の動物分類学会と同じ材料だが、複数の学会で同じ発表をするのは評価の分かれるところなので、無難にきっちりと切り口を変えることにした。その後、タクサの編集で時間が過ぎる。今日はメールがほとんど不通だった。どうやら院生・研究生の部屋だけらしく、みんな困っている。そんなか、別室より蟻研のHPを更新。大会案内を載せた。http://www.japanese-ants.org/
夕方、坂本君の飼育しているクロシジミ(好蟻性の蝶)の幼虫の撮影をさせてもらいに、弥生の農学部へ行く。現在書いている本にできれば欲しい素材であった。東大前の駅を降り、門に近づいたときに、なんと前方から寺山さんがやってきた。お互いにちょうど話したいことがあったので、惹かれあったのかもしれない。この調子でいくと初恋の女の子なんかにも会えるかもしれない。用事を話すと、一緒に坂本君のところへ行きましょうということになった。坂本君の机の周辺で、好蟻性昆虫に関していろいろ話しが盛り上がる。残念ながらクロシジミはすでに蛹化寸前で、給餌の様子を撮りたかったのだが、それはかなわなかった。
今日から坂本君は京都へ行くという。夜行バスが新宿発の23時だというので、それまで大久保で一杯やることにした。坂本君の後輩の学生さんも一緒だ。大久保というのは、新宿の1駅違いであるが、新宿に比べて安い飲み屋が多く、しかも空いていて、われわれには塩梅が良い。安い焼肉屋で飲んだが、焼肉の煙が坂本君の髪の毛に染み渡らないかどうかが心配だった。坂本君は食いっぷりが良い。
今日の写真はマレーシアのシロアリの塚(といっても、高さ30センチ程度)から出たハネカクシである。右下に映っているのはアリシミの仲間。シロアリのハネカクシは、写真の種のように、腹部がボテっと大きくなっているものが多い。写真の種はまだまだ軽度のほうで、なかにはシロアリそっくりの腹部をしたものもいる。こういった種は、蛹から羽化した段階では普通のハネカクシの形をしており、その後の後食で腹部が成長するものが大半である。成長の過程では、驚くべきことに、外骨格の部分までが成長する。このような現象をpostimaginal growth(羽化後成長)という。完全変態昆虫の常識を覆すもので、俄かには信じがたく、実際に知らない昆虫学者が非常に多いが、これは紛れもない事実である。
Steiner夫妻からメール:”you will within the next days receive a sending of Lasius fuliginosus, sampled and sent off by our mother / mother in law and brother / brother in law. The sender will be „Schlick"“。御夫妻にとっての母親/義母と兄(弟)/義兄(弟)/が採集して送ったらしい。一瞬、頭をひねったが、あくまで夫婦連盟のメールということである。ちょっぴり笑った。奥さんのお母さんとお兄(弟)さんということである。家族がクロクサアリ採ってくれるなんていいなぁ。
片山君HPの扉写真が更新されてた。Ulu Gombak、また行きたいなぁ。http://musisukidesu411.fc2web.com/home.htm