断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

帰りの電車で「柳瀬尚紀:翻訳はいかにすべきか」(岩波新書) を読了。題名に騙されてはいけない。「いかにすべきか」という具体的な指導は最後の最後まで出てこないので、何かを期待しながら読んでいたら裏切られる。しかし、具体例の数々には思わず唸ってしまうに違いない。読者はその具体例を自分で咀嚼するほかない。全体的に著者の駄洒落が満載で、何が本気かどうかわからないところもあり、そこも面白かった(神経質な人には鼻につくかもしれないし、新書的ではないかもしれないが)。本書は日本語を書くにあたっても、学ぶところが大きかった。「英語にそのまま訳せるような日本語を書け」というセンセイがたまにいるが、その言葉がいかに馬鹿げているかを再認識するかもしれない。

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)

翻訳はいかにすべきか (岩波新書)