断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

泣いても笑っても今日からシカゴ。海外学振という制度で最長2年間、シカゴにあるThe Field Museum of Natural Historyに派遣されることになった。
海外学振とは→http://www.jsps.go.jp/j-ab/main.htm

この春までに就職の機会もあり、実は行くことを逡巡していたが、いくつかの出来事があり、やはり行くことを決めた。もちろん、この10月までに条件の良い職場があれば、そちらを選んだであろう。

今回の研究課題は、簡単に言ってしまえば、ヒゲブトハネカクシ亜科という巨大で難解な分類群の系統進化と分類学的な大整理である。私の本質的な研究課題は「好蟻性の進化」であるが、好蟻性生物の9割以上はヒゲブトハネカクシ亜科の甲虫であり、ヒゲブトハネカクシ亜科甲虫との付き合い無くしては好蟻性の進化は語れない(と思う)。しかし、ヒゲブトハネカクシ亜科(好蟻性でない種も非常に多い)分類体系は大変に混乱していて、とくに近代的な研究者らによる分類体系は滅茶苦茶といってよい。あまりに巨大な分類分なので、その全容をつかむことは一生をしても無理であるが、基本的な部分の建て直しはなんとかできると思っているし、それは避けて通れないことである。

先に述べた「いくつかの出来事」には、この分野で最も先端を進んでいたカンザス大のSteve Ashe氏が昨年末に若くして亡くなってしまったことがある。これは晴天の霹靂だった。ちょうどそのころ就職の話しをいただいていて、海外学振の採用も決まっていた。どちらを取ろうか本気で迷っていたところに起きた出来事である。

さて、16時50分発のUA882に乗り、同日の14時15分にシカゴのO'Hare空港に着いた。空港へはPEETポスドクとしてField Museumに在籍しているAlexey Solodovnikov氏が来てくれた。5年前にロシアのSt. Petersburgから来ている。彼にはこれからお世話になるだろう。

彼のお世話でシカゴ大学のInternational Houseにしばらく泊まることになった。その前に、彼が勧めるアパートを見に行く。ちょっと高いが、博物館に近く、とても暮らしやすそうだ。夕方からは部屋で寝て過ごす。