断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

そして解剖だが、細かい部分は封入剤の一種であるユーパラル中で行うのがいちばんよい。グリセリン中でも可能だが、難しい。どうしてもグリセリン保存したいときには、先にユーパラル中で解剖し、その後アルコール洗浄し、グリセリンに移したほうがよい。なぜユーパラル中がよいかというと、ユーパラル中で1時間ほど放置すると、膜質部が硬化し、目的の部位が容易にはずれるからである。(臭いからして)おそらくユーパラルにはサリチル酸メチルが含まれいて、その成分が膜質を硬化させるのではないだろうか。したがって、数日後に解剖したりすると、反応が進みすぎて、標本全体が脆くなってしまい、解剖しにくくなることがある。カナダバルサムなど、他の封入剤中で解剖したいときには、封入前にサリチル酸メチルで処理するとよいかもしれない。

ちなみに、一連の薬品処理法については、「森と水辺の甲虫誌」にも図示解説があるので、参考にされたい。