断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

こちらの(もしくはこちら出身の)研究者と話していると、分子情報と形態情報を合わせた行列で系統樹を書くことに肯定的な人が多いことに驚く。こちらに限らず、ヨーロッパにも多少とも残っているようだ。その証拠に、過去5年のMPE(Molecular Phylogenetics and Evolution)をひっくり返すと、欧米人によるそういった論文が少なからず掲載されている。こちらの共同研究者によると、MPEはそういった方法を試みとしてむしろ好む傾向にあるという。つまり、そういうことを好む専門家たるレフェリーが欧米には多いということである。

もちろん、形態情報というのはそれだけで何かしらの有用な情報を持つはずで、分子だけを使って形態情報を活用しないというのは、いかにももったいのないことであるし、形態情報しか得られない材料を議論に含めないというのもばかげている。それにしても、情報をまぜこぜにして1つの系統樹を導きだそうという姿勢は、少し理解に苦しむ。また、そういった論文に限って形態の見方が甘かったりするものだから、形態情報を情報の割り増しくらいに考えているのかもしれないとも感じる。