断虫亭日乗

過ぎ去る日々の思い出をつづるだけ

8時起床。ネズミが掛かっていた。いじめて逃がす。

今日は鶴君の最終日である。朝から採集に出かけ、昼前にマレーズトラップを回収、それを干して畳んでいた。今日は朝から適度な晴天に恵まれ、本当によかった。もし雨だったら、マレーズトラップの重さに参ったことだろう。ここ数日、天気に傾向が読めてきた。朝から炎天下のように暑いと、昼前後から確実に雨が降る。また、雨の直前にツバメが低く飛ぶのは日本と同じのようだ。

私もマレーズトラップの下に置かせてもらった便乗FITの回収を行う。場所によって差が激しく、たとえば林内の暗く開けた歩道沿いに掛けたものはコガネムシ類が10頭程度だったが、明るいギャップで下草が豊富な場所に仕掛けたものはコガネムシ類が200頭以上落ちていた。

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鶴君は16時まで採集を続け、17時にロスリーさんのお迎えでKL Sentral(=Central)へ向かった。鶴君の専門はハナノミという甲虫で、主に掬い採りで採集するので、その副産物のハネカクシをいただけたのは助かった。そして採集が上手い。また、あらゆる甲虫を採集していってくれたのも気持ちがよかった。

小松君と早めの夕食。小松君は明日の帰国なので、今晩の採集に賭けたいようだ。薄暗くなり、一緒に森へ出かける。

今晩の目的は世界最大のアリのひとつモリオオアリCamponotus gigasにつくアリヅカコオロギである。ボルネオではすでに記録があり、ドイツのIngrish氏により、1995年に新属新種としてCamponophilus irumiという名で記載されている(私はCamponophilus Myrmecophilusの異名だと思っている)。ボルネオにいるのだからマレーにも、と思っていたのだが、よい状況にめぐり合えず、採集に至らずにいた。

その前に小松君が数日前に見つけたというキオビシリアゲアリのいた場所へ行き、巣を探すことにする。結局、本丸は見つからなかったが、衛巣が10メートル四方に5個以上あり、巨大な巣を形成していた。小松君はキオビシリアゲアリに擬態しているオオアリを見たいようなので、私の知っている道路沿いの巣を案内することにした。

行ってみると状況はかなり変わっていて、巣の前が歩道になっていた。歩道を進むと、運よくいくつかのモリオオアリの衛巣が見つかった。小松君のヘッドライトの電池が切れたので、完全に暗くなってから出直すことにする。

見つかった衛巣は3つ。1つ目は巣の入り口が見つからず。2つ目は木の根元にあり、掘り進めて見ると、ピョンとコオロギが飛び出した。でかい!まさにモリオオアリのコオロギである。巣を完全に掘り、2個体を得る。次は木のうろに巣があり、覗くとコオロギが動いているのが見える。なかなか採れなかったが、うろに虫除けスプレーを噴射したところ、簡単に飛び出してきた。幼虫と成虫の2頭を得た。

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その足で川へ降り、カエルなどを探す。小松君はクールガエルLimnonectes kuhlii(ナミエガエルの仲間)など、写真の成果がなかなかよかったようだ。ドリアンの花は完全に終わり、森に漂っていた匂いも霧消した。小松君の最終日前日ということで、小松君が撮り溜めた写真を頂戴する。1000枚以上、3.8ギガバイトもあった。

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